AI将棋16 国盗り戦 福岡県制覇東大将棋4マスター

2009年07月19日

穴熊本色々。

棋力の問題でレビューとはいきませんが、四冊の本の簡単な感想を。


○先崎学「ホントに勝てる穴熊」
「ホントに勝てる」シリーズの一冊。アマ初段に向けて書いたとある通り、内容は非常に平易で丁寧です。アマチュアにもよく知られているような定跡手順でも、難解な戦いは(恐らくあえて)バッサリと切り、穴熊側の方針が見えやすい「戦い方の一例」をもとに、穴熊を指す上での基本方針・心構えといったものを平易に説いています。この丁寧な説明は、森けい二「寄せが見える本」と一脈通ずるものがあって、好感が持てます。全体的にアマチュア上位級〜初段(24では13級〜6級)くらいの方に最適と感じます。さすがに高段者の方にとっては得るものが少ない気もしますが、感覚や考え方・基本の確認という意味では良いと思いました。

●福崎文吾「振り飛車穴熊戦法」
2002年に書かれた本だが、内容は決して古くない。基本的に平易な定跡書で、急戦から持久戦まで幅広く説かれている上、後半では「中盤の攻防」「終盤のテクニック」として穴熊戦における基本手筋がある程度の数問題形式で紹介されている。ただし、それだけに個々の内容はかなり薄い。三間や中飛車や向かい飛車まで紹介しているのだが、残念ながら現在は四間穴熊以外居飛車に対抗できないという結論が出てしまっている。とはいえ、今も新品で買える貴重な振り穴本であることは確かなので、「ホントに勝てる穴熊」とセットで、これから振り穴を始めるという初段程度の方が買うと良いと思います。足りないと感じた部分に関して、東大将棋シリーズの四間飛車道場で補っていけば良いでしょう。

○東大将棋部「角交換振り穴スペシャル」
現在ネット将棋でも一部流行しつつあるという、異色の戦術を詳しく解説した本。恐らく今後類書は出ない上に、発行元が絶版の早いマイコミであるので、少しでも気になる方は今すぐ買うべきだと思われます。後手から角交換して3三銀2二飛のかたちからさばくという、何とも異様な通称「レグスペ」。しかし、解説は非常に丁寧で、私の棋力から見た分には本格的な説明のように感じられます。居飛車穴熊・銀冠・矢倉の三つの対抗策との戦いを取り上げていますが、細かい変化に対してレグスペ側の戦い方が詳細に書かれています。またアマチュアならではというか、常用の捌き方や部分的手筋に関しての説明が丁寧でありがたい。時には部分図を使って、指しこなすポイントを提示してくれます。東大将棋部レベルでも通用する本格的な戦術というわけですから、級の上位者から高段者まで、振り穴の戦術を広げたいという方に幅広くオススメします。

◎渡辺明「四間飛車破り(居飛車穴熊編)」
2005年の発行で現在は佐藤天彦五段によるイビアナ本も出ていますが、これは素晴らしい本だと思います。ずっと四間飛車美濃囲いでイビアナに対抗していましたが、この本に早く出会えていたなら、さっさと他の戦法を模索するか、四間飛車を指し続けるとしてももう少しうまく戦えていただろうと思います。無策に四枚穴熊に組ませた場合の居飛車の暴力的な捌き、次善として最新の松尾流穴熊の優秀性、振り飛車の松尾流穴熊阻止とその場合の居飛車の戦いなど、細かな変化にわたって非常に詳細な解説がなされています。渡辺竜王の信念通り「居飛車よし」の変化が多いわけですが、あえて美濃で戦いたいという方にも絶対のオススメです。ただし膨大な内容を一冊にまとめているので、変化の解説はリズム良く進み、程よいところ(ある程度実力があれば十分判断出来るところ)で打ち切られてしまうため、はっきり有段者向け(24なら5級以上)の内容となっています。やはり浅川書房は凄かった!「松尾流穴熊に組めた場合、プロ間の勝率は○割」だそうですよ。


というわけなので、この際「秘伝・穴熊王」と「史上最強の穴熊」も買ってしまおうと思ったのですが、残念ながらひどいプレミアがついていて買えません・・後者の持久戦編などは、なんと15000円もする。

hana180sx at 03:28│Comments(2)TrackBack(0)将棋 

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この記事へのコメント

1. Posted by 味夏   2009年07月19日 11:05
いやあ、もうミスターアナグマンですね^^。

畠山先生の本だったか、確か創元社の本だったと思うのですが、「角交換振り飛車」という本があって、それの一章に角交換振り飛車穴熊が載ってますね。私は穴熊こそしたことがないですが、角交換振り飛車自体は結構好きな戦法なので、いつかレグスペみたいなのも指してみたいな、という気持ちはあります^^。
2. Posted by SR   2009年07月19日 13:27
レグスペは、この本を読んだ限り穴熊を指さない人にも指しやすい戦法のように思えました。具体的には、穴熊のかたちが基本形で良いこと、歩を突かず低い陣形で指すこと、角交換した向かい飛車の形で戦うことなどが、角交換振り飛車が好きな人には受け入れやすい気がします。

鈴木八段の「角交換振り飛車」も基礎編応用編ともに購入したのですが、戦い方が軽快すぎてそう簡単には消化できなさそうです。

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