2月22日、シネ・リーブル神戸。
いつもは、“ラブストーリーもの”はあんまり観に行かないのですが、これはラブストーリー“ズ”。
複数形になっている通り、実は映画も2本になっている。
ある夫婦のひとつの物語が、夫の視点で描いた映画(「コナーの涙」)と妻の視点の映画(「エリナーの愛情」)の両方によって語られる、というもの。
この2本が同時公開される極めてユニークなスタイル。
更に、夫婦を演じたのが、共にHANAお気に入りの俳優、ジェームズ・マカヴォイとジェシカ・チャステイン。
(チャステインは、プロデュースにも名を連ねる。)
こうなると、ラブストーリーだろうと何だろうと、観に行きたくなるのがマニア心理。
まだ幼い一人息子を亡くして悲しみに沈む夫婦、コナーとエリナー。
夫婦の溝は、エリナーの自殺未遂によって決定的になり、エリナーは失踪。
やがてコナーは、エリナーが聴講生として大学に通っていることを知り、彼女を連れ戻そうとするが...。
苦悩の末に、二人がそれぞれ、人生の新たな一歩を踏み出してゆく姿が描かれる。
夫サイド・妻サイドで別々のエピソードも盛り込まれ、2本共に登場するキャラクターもいるが、例えば夫・妻それぞれの父親は、他方の映画には出てこない。
もちろん共通のエピソードもあって、カメラワークなどに違いを持たせているのだが、興味深かったのは、セリフや演技にも明らかな「変化」が付けられていたこと。
2本の監督・脚本は同一人物なので、演出家の好みとかではなく、明確な意図があってのことと思われる。
エンドロールに流れるキャストの名前の順番も、「コナーの涙」ではマカヴォイがトップ、「エリナーの愛情」ではチャステインがトップ、というように徹底していた。
原題は「エリナー・リグビーの失踪 彼(Him)/彼女(Her)」。
ちなみに映画を観る順番としては、「コナーの涙」から観た方が、とっつきやすいと思います。
評価は、「3つ星+」。