荒ぶる冬の九十九里の浜辺で
俺に向かって老人が問いかける
髭面の顔で薄汚れた顔で
手招きをして俺に問いかける

そんなに忙(せわ)しく何処へ行く?
時間に追われ金に振り回され
お前は何が楽しくて生きてる?
歯の欠けた口が笑って俺に問う

アンタに構ってる暇は無いと
俺は見下した顔をして
その場を離れようとした
老人は更に問いかける

お前の服は奴隷の服で
お前の靴は足枷で
お前のネクタイは首輪だと
お前は何が楽しくて生きている?

お前らが得た金と引き換えに
失った自由を俺は持っている
持て余す程の時間を持っている
お前は本当に幸せなのかと

敗者の戯言か 神の啓示か
俺は幸せだと老人は言い残し
北風吹く砂浜に腰を下ろし
風紋に溶け込み消えていった
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