今日は花時計会員の自宅で大東亜戦争を戦った、元兵士のお話を聞く会を開きました。元兵士、といっても河村さんは戦闘員ではなく電子通信兵だったそうです。一口に軍隊といってもいろいろな役割があるんですね。例えば国際法に違反する行為がなかったかどうかをチェックする法務将校や諜報活動をする情報将校、戦死者を弔う僧侶まで日本軍にはいたらしいです。
自宅での小さな集まりでした
河村さんはとても88歳とは思えない、若々しくて背筋がぴんと伸びた方でした。大きな節目となった戦闘のあった日付や戦友の名前などを今でもはっきり覚えていらっしゃるのには驚きました。すごい記憶力! ベトナムからマレー半島を経てフィリピンへ転戦され、ルソン島で終戦を迎えられました。河村さんは、なんと「マレーの虎」の異名を取る山下奉文大将に仕えたということで、花時計のメンバーはお話を聞くのをホント、楽しみにしていたのです。というのも山下将軍といえば自転車部隊でマレー半島を南下し、イギリスの植民地支配の象徴であったシンガポールを陥落させた伝説の英雄です。しかしその際、イギリスのパーシバル中将に「イエスか、ノーか」と降伏を迫ったという話だけが悪く伝えられていて、本当はどんな方だったのか、あまり知られていないからです。河村さんがおっしゃるには、本当に立派な将軍だったそうです。「あと2年早く、山下閣下が指揮を取っていたら・・・・」と、悔しそうな表情でした。
シンガポールが陥落した時にはイギリスに虐げられていたインドやビルマ(今のミャンマー)の指導者も共に盛大な祝典が開かれたそうです。「ああ、これで遂に大東亜共栄圏が実現するんだ、って感激しましたよ! あんな感激は今の若い人は経験しないんでしょうねえー」。
河村さんのお話を聞いていて、これがホンモノの「元兵士の証言」だと思いました。これまでテレビなどで流される「元兵士の証言」は戦争=悲惨、日本軍=悪、という紋切り型のものばかりでした。それ以外の「証言」がまったくないのがいかにも不自然で嘘っぽいのです。確かに敗色濃くなってからの戦場は悲惨だったでしょうが、緒戦の日本軍は連戦連勝だったのです。米英という大国、アジアのほとんどすべての国を植民地にしていた白人国家に戦いを挑んで勝てば歓喜するのが当然だし、戦地だからといって朝から晩まで戦っているわけではありません。戦闘のない時にはのどかで、平和な時間もあったはずです。長い間、駐屯していれば現地の女性と親しくなることもあるでしょう。河村さんの部隊にも、現地の女性から惚れられた色白の兵士がいたそうです。でも、憲兵に知られて別れさせられた、とその女性が涙ながらに話していたそうです。
日本軍の軍紀は本当に厳しかったそうです。略奪や強姦が当たり前の戦場にあって、日本軍の兵士は毛布1枚奪っただけで罰せられた、という話は前にも聞いていましたが、河村さんのお話を聞いてそれが嘘でなかったことを確かめられて嬉しかったです。ただ作戦の失敗や物資の欠乏、情報不足で多くの兵士を死に追いやったことに対しては「腹が立つ」とおっしゃっていました。
河村さんたちは戦争というものを知っている最後の世代です。お元気なうちにもっともっといろいろなお話をうかがいたい、と思いました。