今、発売中の雑誌「WILL」にジャーナリストの山際澄夫さんが「朝日よりひどい 中日・東京新聞の反原発偏向報道」というタイトルで寄稿されています。これによると3月11日の東京新聞(東京新聞は中部圏で圧倒的な発行部数を誇る中日新聞が発行している新聞で、発行部数は約55万部)の1面トップに「原発関連死789人」と、デカデカと白ぬき見出しで出ていたそうです。白ぬき見出しは非常に目立ちます。そして「原発関連死」という何やら怖そう~な文字。中身をよく読まない人は原発事故で789人死んだのだ、と誤解してもおかしくありません。しかし記事をよく読めば何のことはない、原発事故に伴う避難やストレスによる体調悪化で亡くなった方が福島県内で789人いた、ということでした。もちろん789人が亡くなったことは悲惨なことではありますが、これは放射能とは関係ありません。福島で特に死亡者が多い理由はもともと避難民が他の県に比べて多いから(16万人)です。それを無理やり放射能に結びつけて恐怖をあおる意図が見え見えです。
3月11日の前後の各社マスコミの報道を見ていると、震災の話がいつの間にか原発の話にすり替えられていることに気づきました。東京新聞のこの記事の見出しも本来ならば「原発関連死」ではなく「震災関連死」と言うべきであり、正確には「避難関連死」と言うべきです。当時の民主党政権はまだ住める家からお年寄りを強制的に避難所に移しました。可愛がっていたペットと別れ、慣れない環境の中で孤独感を募らせて、体調を悪化させた人が多かったことでしょう。これは「避難」という名の「強制連行」と言ってもおかしくないと思います。789人は民主党政権の無策によって殺された、と言っても過言ではないでしょう
ICRP(国際放射線防護委員会)は「年間100ミリシーベルト以下の低線量被曝の人体への健康被害は明らかでない」と言っていますし、来日した同委員会のゴンザレス副委員長も「(日本政府が住民の避難基準とした)年20ミリシーベルトは決して危険な数値ではない」と述べています。それを信じるなら今でも福島の住民は即刻、帰還できるのです。しかし現実には民主党政権が除染目標とした「1ミリシーベルト」が達成できなければ帰還できない、という雰囲気があります。住民の中にも帰還をためらう声があります。それはマスコミが震災以来、繰り広げてきた反原発キャンペーンによって放射能の恐怖が住民に刷り込まれてしまったからです。
空気中の放射線はゼロでなければならない、と思いこんでいる人が多いようですが、放射線=エネルギーであり、空気中に放射線がゼロだったら生命は誕生しません。私は放射線どころか理科系はまったくダメな人間ですが、震災後少し勉強していくつかのことを学びました。空気中にも私たちの体内にも微量の放射線があります。食べ物にも放射線が含まれています。例えば納豆は1キログラム当たり200ベクレルの放射線が含まれているそうです。これは民主党政権が作った基準値「1キロ当たり100ベクレル」を超えていますが、毎日納豆を食べても癌にはなりませんよね? むしろ体に良いから納豆は食べた方がいいと言われています。温泉に行くのもわざわざ放射線を浴びに行っているわけです。微量の放射線はむしろ体に良いという説は震災直後からネットに氾濫していたのに、政府が未だに民主党政権が作った基準値を守っているのが不思議でなりません。
今、急がねばならないのは避難している人たちを一刻も早く自分の家に返すことです。特にお年寄りは自分の家が一番安らぐのです。自民党政権には被災者の気持ちに配慮する、血の通った政治を取り戻してほしいです。