台湾に「李登輝学校」という学校があるのをご存知ですか? 2003年5月12日に創立されました。1988年~1998年、台湾の総統だった李登輝氏を校長に迎え、運営は「李登輝基金会」がやっています。台湾は今でこそ民主国家ですが、なんと1988年まで中国国民党の蒋介石、将経国親子によって戒厳令が敷かれていました。台湾はつい最近まで戒厳令下にあったのです。戒厳令の下では政治活動の自由も言論の自由もありませんでした。1988年、李登輝氏が総統に就任してようやく戒厳令は解除されましたが政治の民主化、台湾人としてのアイデンティティーを育てる教育、文化活動など、さまざまなことが立ち遅れていることから「李登輝学校」が創られたそうです。
「日本李登輝友の会」http://www.ritouki.jp/purpose.html では毎年、春と秋に「日本李登輝学校台湾研修団」を派遣しています。11月21日~25日、私は今年20回目の節目を迎えた「日本李登輝学校台湾研修団」に参加したので、どういう旅だったかここにご紹介します。
研修団のスケジュールは座学と野外研修に分かれていて2日間は座学、つまり室内での講義で、2日間は野外研修です。今回の野外研修は台北では台湾大学を訪問し、後半は台湾中部の都市、台中へ行きました。参加者は36名でした。
最終日には李登輝元総統の特別講義がありました。確か90歳の坂を越えられたのではないか?と思うのですがとてもお元気でした。心臓の手術をなさったと聞いていますがまったくそんな様子もなく、90分の講義は終始、熱のこもったものでした。さすがはアジアの「鉄人政治家」ですね~
李登輝元総統は「鉄人政治家」ですが、また「哲人政治家」でもあります。中国の脅威という厳しい現実の国際政治に直面しながらも常に哲学的な思索をしていらっしゃるようです。今回の講義のテーマは「戦争はなぜ起きるのか」というものでした。いずれ雑誌に発表なさるそうなので、ここでは内容紹介はしませんがとても深い、考えさせられるものでした。ちょうど中国が防空識別圏を設定した、その日に李登輝先生の講義があったのですが、その件には一切触れませんでした。