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今、渋谷の映画館「ユーロスペース」で「ダライ・ラマ14世」という映画を上映中です。薄井一議さんという若い写真家が企画・撮影・編集を担当、その他、日本の映画人が何人か加わっています。街頭で若者にマイクを向けて「ダライ・ラマ14世に質問したいことはありませんか」と聞く、というアイデアは若い人が撮ったからこそ出てきたアイデアではないか、と思いました。
昭和34年(1959年)3月10日、中共の人民解放軍に侵略されチベットの首都だったラサの宮殿からダライ・ラマ14世が脱出、インドに亡命してから半世紀以上の月日が流れました。法王の亡命後、10万人以上のチベット人がその後を追ってヒマラヤを越えました。インド北部のダラムサラにチベット亡命政府が樹立され、チベット難民の受入れセンターもあります。今でも毎日のようにヒマラヤ山脈を越えてダラムサラをめざしてくる子供たちを受入れ、育てる学校「チベット・チルドレン・ヴィレッジ」にカメラは入ってゆきます。年齢も出身地も違う子供たちがそこで共同生活をしています。子供たちに「勉強は好き?」「なぜ勉強をするの?」と質問するシーンはとても新鮮で、感動的です。おそらく一生、親に会うことはできないだろう子供たちの表情は寂しげですが目は澄んでいて、口から出てくる言葉は「感謝」「満足」「幸福」などです。
チベットの状況は悪化の一途をたどっています。法王の写真を携帯することすら中国は認めていません。チベット人にとって仏教は何よりも大切なもので、仏教では自殺を認めていませんが焼身自殺する人は既に100人を超えました。以前は焼身自殺をするのは僧侶が多かったのですが、最近では子供を持つ主婦や若者の焼身自殺も珍しくありません。自分の体にガソリンをかけ、なかにはガソリンを飲みこんでから火をつける人もいるそうです。彼らが自殺する前に叫ぶのは「チベットに自由を!」「ダライ・ラマ法王のご長寿を!」という言葉です。
ダライ・ラマ14世は人間味溢れる方で、その笑顔は会う人を魅了せずにはいません。特に欧米には法王のファンが多く、ハリウッドのスターであるリチャード・ギアを初めとする俳優や歌手にもチベット仏教に帰依する人がいます。彼らの支援がチベット難民の生活を支えつづけています。それはそれで尊いことですが、チベットの状況は一向に改善されないこともまた事実です。国連は中国が常任理事国である限り、チベット問題に関してはまったく無力です。
この映画はダライ・ラマ法王日本代表部事務所の全面的な協力を得て製作されており、貴重な映像が次から次へと出てきます。チベットに関心のない人でもよく分かる作品です。ただちょっと気になるのは後半部分、反戦平和を訴えるような流れになっていることです。法王のいう「非暴力」という意味は人間の内面の話をしているのだと思います。法王は宗教指導者であり、僧侶として言っているのに、それを政治指導者としての言葉のように誤解する人がいないだろうか、気になります。混迷を深める国際社会の中で自国を守る軍事力が必要なのは当然です。国防のための軍事力は「暴力」でないことは言うまでもありません。チベットは優秀な男の子はほとんどが僧侶になるという国柄で、僧侶は結婚しませんから子供を残しません。そのような国柄が中国の侵攻を招いたこともまた事実です。
南シナ海を埋め立て、滑走路や灯台を作り、武器を持ち込む中国に対して今、私たちができることは国防に関心を持つことしかありません。二度とチベットのような悲劇が起きないように、この映画を一人でも多くの日本人に見てもらいたいです。
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