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「外事警察」といわれても、ピンとこない人が多いと思います。麻生幾が書いた小説『外事警察』がNHKドラマになったことで多少は知られるようになりましたが、外事警察は任務自体が秘密のことが多いので、存在を知る人はあまりいません。スパイ行為を捜査するのが「外事警察」の本来の任務だそうですがグローバル化した社会においては犯罪やテロも国際化、凶悪化しています。おそらくこれから「外事警察」が活躍する場面は増えることでしょう。
「危機管理」という言葉の生みの親であり「ミスター危機管理」と呼ばれた佐々淳行さんが書かれた『日本赤軍とのわが「七年戦争」ーザ・ハイジャック』(文春文庫・581円)を読みました。現役を退いた佐々さんが半世紀に及ぶご自身の危機管理人生を振り返り、その中から「ハイジャック事件」に焦点をしぼって書かれたものです。人質を取って立てこもり、要求を次々に出してくる犯人グループと「人命尊重」の一点張り、何の戦略も戦術もない日本政府とのやり取りが臨場感あふれるドラマのように克明に描かれています。その場にいた人でなければ書けない貴重な記録です。「外事警察」捜査官の知られざる苦闘が分かります。
この本は冒頭、昭和45年(1970年)3月31日に発生した「よど号ハイジャック事件」で始まります。私もおぼろげながらこの事件のことは覚えています。記憶があいまいになっていたのですが、この本で全貌が分かりました。昭和45年から平成11年(1999年)までの29年間に日本ではなんと! 20件ものハイジャック事件が起きていたそうです。すべてが赤軍派によるものではないにせよ、こんなにハイジャックが頻繁に起きたのはやはり航空行政の不備と政府の「国家としての断固たる意思」の欠如によるものだろうと思います。
私がハイジャック、と聞いてすぐに思い浮かぶのは「人命は地球より重い」という言葉です。昭和50年8月4日、マレーシアの首都、クアラルンプールにあるアメリカ大使館とスウェーデン大使館が日本赤軍をなのるゲリラによって占拠されました。犯人たちは日本に拘置されている赤軍派メンバー7人の釈放と脱出のための日航機の派遣を要求、もし要求が入れられないなら人質を射殺する、と脅してきました。釈放しろと要求されたメンバー7人の中には「あさま山荘事件」の犯人二人も含まれていました。逮捕したばかりの連続企業爆破事件の犯人もいました。捜査官が苦労してようやく捕らえた犯人をむざむざ釈放するなど言語道断だし釈放されたらまた似たような事件を起こすに決まっています。しかし、事なかれ主義の日本政府(三木武夫首相、福田赳夫副総理)は「人命は地球より重い」という無責任な言葉で犯人の要求に屈したのです。日本の対応は世界中から非難され、軽蔑されました。
現場で指揮に当たっていた佐々さんの悔しさが伝わってきます。この本を通じて佐々さんが伝えたかったことは日本の法律の不備や欠陥、そのような中でも治安維持のために闘ってきた警官たちの奮闘ではなかったでしょうか?
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