6月12日、東京都議会が終了したあと、小池都知事がようやく都知事選への出馬表明をしました。表明が遅れた原因など、いろいろ取りざたされていましたが、おそらく情勢を慎重に見極めていたのでしょう。自民党の色をあまり出さずに、でもひっそりと応援をしてもらう約束も取り付けたようです。小池さんとしては、都知事選に向けてまずまずの態勢を整えたという事で出馬表明をしたのでしょう。本来なら、きちんと出馬表明記者会見を開くべきですが、なぜか廊下で立ったまま、ぶら下がり会見をしました。これも異例なのですが、ここで前代未聞のことが起きたのです。
都庁記者クラブには幹事社(メディアの中から持ち回りで選ばれる)というものがあります。幹事社であるテレビ朝日が口火を切って「いつも緑の勝負服ですが、今日はなぜ青のお洋服なんですか?」という、くだらない質問をしました。そのあと、元朝日新聞記者でフリージャーナリストの佐藤章氏が「昨日、朝堂院大覚氏が都庁で記者会見をしましたが・・・」と言いかけました。すると、なんと小池さんは「どうも、有難うございました」と言うなり突然、身を翻して廊下を走るように去って行ったのです。逃亡した、と言われても仕方がないでしょう。よほど「朝堂院大覚氏」という言葉に衝撃を受けたようです。「朝堂院大覚氏」とは一体、何者なのでしょうか。
小池さんの半生を描いたノンフィクション作品『女帝 小池百合子』に朝堂院氏の名前は何度も登場します。朝堂院氏は大阪にある空調設備工事会社「ナミレイ」の元会長です。1982年、高砂熱学工業に対して業務提携を強要したとして逮捕され、懲役2年執行猶予4年の判決を受けています。ナミレイ会長時代はパレスチナ解放機構のアラファト議長の来日に尽力したり、法曹政治連盟総裁に就任するなど、“最後のフィクサー”の異名でも知られている人(『FLASH』より)だそうです。
11日の朝堂院氏の記者会見はニコニコ動画で配信されています。84歳とは思えないお洒落な方で、記憶もとても鮮明でした。朝堂院氏は、小池さんのカイロ大学卒業という学歴の詐称疑惑について「真実を述べて、嘘を取り消し、出直してくれ」と語っていました。この言葉、小池さんに届いたのでしょうか。朝堂院氏は小池さんの父、勇二郎氏の会社が倒産した時、会社の整理を引き受けた人です。債権者に追われて神戸にいられなくなった勇二郎氏にエジプト行きを勧めた人です。小池家にとっては大恩ある人です。
私は『女帝 小池百合子』を読んで以来、朝堂院氏ってどういう人なんだろう、と思っていました。今回、記者会見を拝見してとても温かみのある方だな、と思いました。小池家が困窮した時に助け船を出して、エジプトで日本料理店を開く資金を出してあげたり、小池さんがカイロ大学を中退して「空手雑誌をやりたい」と言われれば、その資金も出したそうです。しかし朝堂院氏が逮捕され、お金も権力も人脈も失うと小池家との縁は事実上、切れました。それ以来一切、連絡はないそうです。それでも朝堂院氏の口から小池家の忘恩を恨む言葉は一言も出ませんでした。むしろ「小池家は家族の団結力があった」と言っていました。
もし小池さんにまだ良心のかけらが残っているのなら、朝堂院氏の言葉通り、出直すことをお勧めします。嘘をついた人間が幸福な人生を送れるはずはないからです。
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なので本音トークができると思います。よろしかったらのぞいて見て下さい!
「岡真樹子の日本人に生まれて良かった」