去年暮れに『ぼくらの祖国』(扶桑社)という本が出版されたのをご存知ですか? 著者は青山繁晴さんです。青山さんはエネルギー安全保障や危機管理の専門家で、作家でもあります。テレビ、ラジオ出演や講演も数多くこなしていて、大変お忙しいようです。その忙しい青山さんが2年半ぶりに出した本ということで早速、買って読んでみました。

 青山さんがこの本を書くことになったきっかけは、ある若い母親が青山さんに「子供に読ませたい本がないんです」と言ったことだそうです。そこで子供もお母さんも一緒に読める本、受験勉強に苦しむ若者に読んでもらえる本を書こう、と思ったそうです。文字が大きいし、難しい漢字にはルビが振ってあるので、中学生ぐらいになれば十分読める内容です。小学生高学年ではちょっと難しいかも知れませんが、お母さんが読んであげればきっと理解できるでしょう。

 「祖国」という言葉が存在しているのに日本ではそれを口に出す人がいない、ということに私が気がついたのは外国で暮らしていた時でした。外国では自分の国のことを話す時「わが国」とか「私たちの国」「わが祖国」などと言うのに、日本人はなぜかその言葉を使いません。いわゆる保守の論客の方でも「この国」と言う方が多いのです。しかし「この国」という言い方は、例えば日本に住んでいる外国人が日本を指して言う言葉のはずです。自分の国をそんなふうに、他人のようによそよそしく呼ぶ国はありません。日本の常識は世界の非常識だということが、このこと一つを取ってみてもよく分かります。花時計の会員さんの中には海外在住の人もかなりいるのですが、おそらく外国で暮らしてみて初めて日本の非常識さ、異常さに気がついて、何とかしたい、と思ったのだと思います。

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 青山さんはこの本の中で

 ぼくたちが、この大地に足を踏みしめて生きることのできる土台が、祖国なのだ

 と書いています。「祖国」という言葉を無意識のうちに避けている私たち日本人は、足を踏みしめて立つ土台がない、ということになります。非常に不安定で、危なっかしい状態なわけです。


 この本を読んで驚いたことは青山さんってすごく行動的な人なんだってことです。普通の人が行かないようなところ、行きたがらないようなところに周りの反対を押し切ってどんどん行ってしまいます。何しろ東日本大震災の前に尿管結石や大腸癌の手術をしているのに、病み上がりの体で震災直後に東京電力福島第一原発の構内に入っている! 自衛隊の幹部の反対を押し切って硫黄島にも一人で行っている! 青山さんのその情熱に引きずられるような感じで読者もいつの間にか現場を歩いている気分になるから不思議です。

 青山さんの情熱の根っこにあるものはやはり「祖国」を守りたい、という気持ちなのだと思います。東日本大震災の時にも、住民に避難を最後まで呼びかけて自らは犠牲になられた方がたくさんいました。その方たちも、最期に考えたことはやはり「祖国」を守りたい、地域のおじいちゃん、おばあちゃん、子供たちを守りたい、ということだったのではないでしょうか?

 この本を読んで「祖国」について、お子さんと話し合ってみてはどうでしょうか? 定価1680円とちょっと高いので 近くの図書館にリクエストして見ても良いかも知れません。図書館は住民からのリクエストには必ず応えなければならないことになっていますので。

 私たちの子供や孫の世代が「祖国」という土台の上にしっかりと足を踏みしめて立つことができると良いですね そうしてやることが私たち、大人の責任だと思います。