先日のWBC第2ラウンドの初戦、日本VS台湾の試合はWBC史上に残る名勝負になりました。そして試合後、負けて悔しいはずの台湾の選手たちが再びマウンドに集まり、輪を作って観衆に深々とお辞儀をするという、信じられない光景を私たちは目の当たりにしました。これは「震災の時の支援に対する感謝の気持ちをこの機会に台湾の人たちに伝えよう」という、ある日本人の呼びかけがネットを通じて多くの観客に伝わり、心ある人が手作りのプラカードや台湾の国旗を持って球場に行ったからです。台湾メディアもこの光景を興奮気味に伝えたそうです。

 日本人と台湾人の間には他のどの国との間にもない、このような親密で麗しい関係があるわけですが国家と国家との関係、ということになると非常に心細い関係しか実はありません。日本と台湾との間にはなんと 国交がないのです。えっ、だって台湾に旅行にも行けるし台湾の人も日本に留学したりしているじゃないって思う人が多いですよね。でも、民間交流と国家間の関係はまったく違います。

 わが国の政府は台湾を国家と認めていません。1972年、中華人民共和国と国交を結んだ時、台湾とは国交を断絶しました。それ以来、外務省と経済産業省所管の「公益財団法人 交流協会」というよく分からない団体が台湾のカウンターパートと非政府間の事務手続きをしています。しかし「交流協会」は民間団体です。国家レベルで解決しなければならない問題には関われません。例えば安全保障の問題などを話し合う場がありません。台湾の人が日本の防衛省に行くこともできません。中国が軍事力をどんどん拡大して、それが東アジアの国々共通の脅威となっているのに、中国の脅威にどう対応するか、などといった話も日本と台湾の政府間ですることができないのです。まったく信じられないことです 

 ニクソン大統領が中国を電撃訪問してアメリカは中国と国交を結びました。しかし、それまで国交を結んでいた中華民国=台湾と断交まではせず、「台湾関係法」という国内法を制定して武器の供与などをできるようにしました。アメリカと台湾は同じ自由主義国なのですから当然です。日本政府は何でもアメリカに追従するくせに、この点はアメリカに倣わなかったのです。おそらく中国から圧力がかかってめげてしまったのでしょう。情けない限りです

 去年の1月、「日米台の安全保障等に関する研究会」で「李登輝友の会」常務理事で元海将でいらっしゃる川村純彦さんが「日台関係基本法を制定すべき」という政策提言をなさいました。「日台関係基本法制定」の話はもうずっと前から必要だと言われているにも関わらず、自民党政権下でも実現できませんでした。しかし今年の111日、安倍首相は「新しい外交5原則」を提唱しました。東アジアを「力の支配」ではなく「法の支配」に戻すべきだ、という趣旨のもので中国の脅威に対する対応が暗に示されています。

 日本と台湾は歴史的関係も深く、同じ自由主義国で民主主義国です。同じ島国で国民性もよく似ています。国民同士はこんなに仲良くしているのに国家同士が国交がないなんて本当におかしいと思いませんか? 安倍政権には「日台関係基本法」を是非、制定してほしいです。もし中国が文句を言ってきたら、ついでに中国との断交も実現してほしいです。