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 新宿のすぐ近く、東京のど真ん中にありながら信じられないほど静かな憩いの場所を都民に提供して来た明治神宮外苑が、「再開発」という名の自然破壊の犠牲になろうとしています。老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替える必要があるので、と言われるとああそうか、なるほど、と納得しそうになるのですが、計画の内容を具体的に聞くと、単なる老朽化した施設を建て替えるだけが目的ではないな、という事が分かります。広々とした空間を埋めるような高層ビル(高さ190メートル)やホテルの建築計画がなぜかあるのです。新宿の高層ビル街のすぐ近くに、同じような高層ビルがなぜ必要なのか、不自然です。長年、草野球の愛好家に親しまれて来た軟式野球場が会員制のテニスコートに替わる、と聞くとえっ、どうして、と思います。

 もっとも問題なのは樹齢100年を超える貴重な樹木が1000本も伐採されるという事。小池都知事は39日の都議会で「新たな神宮外苑として、次の世代につなげてゆくことは創建の趣旨にかなう」と述べて賛成したそうですが、歴史の証人であり、二酸化炭素を吸収してくれる樹木を伐採することがなぜ「創建の趣旨にかなう」のでしょうか? 環境問題に熱心な左派の都議がなぜこの計画に反対しなかったのか不思議です。

 そもそも明治神宮とは何なのでしょうか? 明治天皇の御陵は京都にあります。しかし明治大帝の遺徳をしのぶ社が東京にも欲しいと考えた国民が全国からボランティアで参加して作り上げたのが明治神宮です。国民の自発的な意志によってあの巨大な森が一から作られた歴史があります。その歴史を今の都議会議員や都知事は知らないのでしょうか? 原宿駅から目と鼻の先に鬱蒼と茂った森があること自体、奇跡のようなものです。でも一度壊してしまったら、もうあの美しい森は二度と戻りません。一本の苗木が100年かかってあの大きさに育つのです。東京の蒸し暑い夏、あの木々がいかに大きな役割を果たしているかがなぜ分からないのでしょうか。

こんな恐ろしい計画を東京都は去年12月、二週間公表しただけでした。今年の29日、都の都市計画審議会で賛成多数で承認され、ほとんどの都民が知らないままにこの暴挙が実現しそうになっていました。ところが、この計画を知ってロッシェル・カップさんという経営コンサルタントが計画の見直しを求めるネット署名を開始しました。すると雑誌の取材も受けることになり、署名は瞬く間に5万人を超えました。5月末の時点で約8万人の署名が集まったそうです。

 526日、都の環境アセスメントの部会がありました。委員からは事業者の三井不動産に対して「資料不足」「未確定要素が多すぎる計画」「具体的な対策が提示されていない」などの苦言が出たそうです。斎藤部会長は「外苑の森が守られるか、現段階では極めて不透明」との発言があり、結局、結論は持ち越されたそうです。これまで賛成していた小池都知事も都民の反対の声を知って、態度を豹変させました。さすが緑のタヌキ! 三井不動産の社長に「幅広い都民の参画が必要」とか「まちづくりに対する都民の共感を得る努力が必要」などと言ったそうですが、一体、どの口が言っているんだか。都民のことなんか、これぽっちも考えていないくせに。

 都民の憩いの場をつぶし、どこにでもあるようなショッピングモールやホテルを建てることが東京の魅力につながるという発想は、まさに「今だけ、カネだけ、自分だけ」の発想です。コンクリートの建物は世界のあらゆる都市に掃いて捨てるほどあります。世界のどこの都市にも見られない、鬱蒼とした森こそが日本が誇る文化であり、歴史なのです。そういうことも分からない人間を選挙で選んできた、私たち都民の罪も決して小さくありません。