今、発売中の『週刊文春』8月31日号でまたまた木原事件の隠されていた闇が一部、暴露されました。ある意味でこれまで一か月以上、続いた木原問題追及の記事が描こうとしている全体像が少しずつ見えてきたような気がしました。
木原誠二氏は岸田政権の内閣官房副長官です。内閣官房副長官というのは三人いて衆議院議員から一人(木原)、参議院議員から一人(磯崎)、官僚から一人(栗生)です。そして、ここからが問題の核心なのですが栗生俊一氏は2018年、安田種雄さんの不審死事件(木原氏の妻X子の元夫である安田種雄さんが不可解な死に方をした事件)の再捜査が始まった時の警察庁長官だった人物です。
2018年10月9日、警視庁特命捜査対策室特命捜査第一係(トクイチ)の捜査員が木原氏の妻、X子さんの実家に家宅捜索をかけ、また東村山の木原氏の自宅に捜査員が踏み込んでX子に任意同行を求めました。この時は「子供がまだ小さいから」という理由でX子は任意同行を拒否したそうです。とはいえ捜査員が自宅に来るなんてただ事ではありませんから、木原氏は衝撃を受けたでしょう。どうも捜査がいよいよ妻の身辺に及んできたようだ、これはマズイ、と考えたのではないでしょうか。
木原氏の自宅に捜査員が来た日、10月9日と奇しくも同じ日、10月9日に木原氏は自民党の情報調査局長に就任しました。情報調査局長というのは全国の警察組織に睨みのきく、権限のあるポストです。そしてなぜかその後、X子に対する捜査は突然、縮小され、やがて終了してしまいました。安田種雄さんの不審死事件にX子が関わっているのではないか、という疑惑が晴れたわけではありません。むしろこれから証拠を集めて事件として立件できそうな段階に入っていたのです。捜査員たちは意気込んでいたでしょう。それなのになぜ捜査は突然、終わったのか。警察上層部、それもトップからの圧力があった可能性は充分、考えられます。
証拠はありませんが2018年当時、警察庁長官だった栗生氏に木原氏は捜査を打ち切るように頼んだのではないでしょうか。そして2021年、岸田さんが首相になり、自分が官房副長官に抜擢された時、「しめた、これで栗生氏に対する借りが返せるぞ」と考え、栗生氏を官房副長官に就けるように岸田さんに頼んだのではないか、と推測ですが、私は考えていました。『週刊文春』8月31日号の記事を読んで、この推測が当っていたことが分かりました。
記事には、「ある捜査関係者」のこんな証言が書かれています。「露木長官(警察庁長官)が『火消しをしろ』と重松部長(警視庁の重松弘教刑事部長)に命じたそうです。後輩の露木長官に『どうにかしてやれよ』と発破をかけたのは、元警察庁長官で現在は木原氏とともに官房副長官を務める栗生俊一氏だったそうです」。そして重松刑事部長の執務室に幹部が集まり密談が行われた、その内容は・・・・・というのが記事の流れです。関心のある方は是非、『週刊文春』を買って読んでみてください。
これが事実なら、恐ろしい事態だと思いませんか? 現政権の内閣官房副長官が二人も安田種雄さん不審死の真相をもみ消す工作に関わっていたということです。これだけで政権が吹っ飛ぶような大スキャンダルです。今の警察庁長官、露木氏は自分の先輩である栗生氏の「どうにかしてやれよ」という一言に屈して、自分でよく調べることもせずに「事件性はなかった」などと記者に対して嘘をつきました。そして露木氏の「火消しをしろ」という一言で、重松刑事部長は安田種雄さん不審死事件を「自殺と考えて矛盾はない」と、遺族に説明するためのロジックをひねり出しました。幹部たちは自分の保身のために、組織防衛のために現場のこれまでの真相究明の努力を踏みにじっていました。
『週刊文春』はなぜ警察幹部たちのこんな動きを逐一、細かく知っているのでしょうか? おそらく警察内部には腐敗した幹部たちに対する不満や不信感が渦巻いているのではないでしょうか。だとしたら、日本の警察は組織自体がすでに機能不全に陥っているおそれがあります。
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なので本音トークができると思います。よろしかったらのぞいて見て下さい!
「岡真樹子の日本人に生まれて良かった」