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 191931日、日本統治下の朝鮮で「万歳騒擾」と当時、いわれたデモ行進が行われました。最初は平和的なデモでしたがやがて暴徒化し、それを鎮めようとした警官が暴徒に殺害されたりもしました。この事件を記念して韓国では毎年、31日は記念日になっています(31節)。日本の過酷な植民地支配に対抗して立ち上がった民族の抵抗運動(事実は違いますが)として「万歳騒擾」は語り継がれています。毎年、この日に大統領が演説をすることは日本でも報道されています。しかし、105周年を迎えた今年の31節の大統領の演説は例年とは違いました。

 いつもは演説で日本と韓国の関係に触れる、つまり日本に対して悪態をつくのが定番なのですが、尹錫悦大統領は「日本は今や共通の価値観をともにできるパートナーとなった」と、気持ちが悪いほど日本に気を遣っていました。しかし、尹大統領が本気で日本との関係改善を望んでいるわけではありません。先日、いわゆる「徴用工訴訟」で日本側(日立造船)に初めて実害が出ました。供託金が韓国の原告側に「賠償金」という形で渡されたのです。尹大統領は日本政府との約束をきちんと守っていません。政府は尹大統領に抗議すべきです。

 さて、尹大統領の演説の主眼は日本との関係よりも北朝鮮との関係、そして統一問題のほうに置かれていました。これは珍しいことです。その原因は北朝鮮がなんと「朝鮮半島の統一を放棄する」と宣言したからです。北朝鮮は年末の労働党全員会議と年初の最高人民会議で南北を「交戦中の敵対的な2国家関係」と宣言しました。これは驚くべきことです。北も南も、これまで(本音はともかく)統一朝鮮をめざして頑張ろう、と国民に呼びかけてきたのです。今まで政府が言ってきたことは一体、何だったのか、と北朝鮮の国民が反発をすることは十分、予想されます。

韓国は盧泰愚政権だった1989年、与野党の合意で「韓民族共同体統一案」を出しました。1994年の8月15日、当時の金泳三大統領はそれを継承して「民族共同体統一案」を打ち出し、それが韓国政府の公式的な統一案として定着していました。半面、北朝鮮は「高麗連邦制」を主張してきました。

今回、尹錫悦大統領が記念式典で「自由と豊かさを享受する統一が三一運動の完成だ」と述べたのは新しいビジョンの登場ともいえます。尹大統領は「自由」という言葉を強調し、「自由と人権という普遍的価値を拡張することが統一だ」「すべての国民が主である自由な統一韓半島(朝鮮半島)に向けて進まなければいけない」と統一に対する熱意を示しました。金正恩が韓国を「敵国」と呼び、憲法にもそう明記するように指示するという状況の中で、尹大統領の演説は何を意味するのでしょうか。

 朝鮮半島情勢は明らかに新しい段階に入ったといえます。日本政府はこの変化にどう対応するつもりなのでしょうか。

 

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 「岡真樹子の日本人に生まれて良かった」

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