先日、南青山の「CIBONE Aoyama」へ行きました。
インテリア、キッチン雑貨、文房具、書籍、洋服などを販売しているライフスタイルショップです。無地のモレスキンが置いてあってうれしかったです。ベルギー製のメモ帳など、気になる商品もありました。他にも文房具をいろいろ見ていたら、素敵な鉛筆セットを見つけました。紙ケースの小さい窓から色のきれいな鉛筆が見えたので思わず手に取ってみました。世界数ヵ国の樹木を使用して作られた鉛筆で、どれも素晴らしい色合いをしていたのです。その深みのある色の美しさに魅了されてしまい、少々、値段は張りましたが買ってしまいました。
鉛筆セットには厚紙のカバーが掛かっています。
「樹木鉛筆」なんて、名前がいいですね。
この鉛筆は20数年前にも販売されているのですが、そのときは発売後すぐに完売となり、その後、製造していた会社がなくなってしまい、しばらく見ることがありませんでした。しかし近年になって、新たに製作を手掛ける会社が現れて樹木鉛筆は復活することになったのです。
この小さい窓から見える鉛筆の色があまりにもきれいだったので買ってしまったのです。セットになって並んでいると、一本一本の色の美しさが一層際立って見えます。
世界7ヵ国の樹木が使用されていて全部で10本あります。日本が4本、インド、北米、ブラジル、ギニア、フィリピン、タイがそれぞれ1本ずつです。日本は明るめの色で、インド、ブラジル、ギニアなど南方地域のほうが色が濃いような感じがします。
カバーを掛けた状態でトレーを振ると、鉛筆どうしがぶつかって心地よい音がします。小さい頃、鉛筆が何本も入った筆箱をしゃかしゃかと振ったときに聞いた音を思い出します。
鉛筆を乗せている木のトレーも素敵です。
樹木の匂いがかすかに香ってきます。表面がきれいに加工されていて、手に持ったときの感触も滑らかです。過剰にコーティングされていないので、木の温もりが直に伝わってくるようです。
「HALCANA」というブランド名が小さく彫り込まれています。鉛筆の木目もそれぞれ異なっていて、樹木の特徴が良く表れています。自然の芸術を見ているようです。
明るい色から濃い色まで、濃淡のバリエーションが楽しめます。この美しい色合いは、いつまでも眺めていられます。
樹木の種類は、ヒノキ、ローズウッド、ウダイカンパ、ウォールナット、ミズナラ、マホガニー、アフリカンパドック、ナーラ、チーク、ケヤキです。
こんなふうに並んだ状態で見ていると、それぞれの色の美しさが際立って見えてきて、まるで色鉛筆のようにも思えてきます。
表面には原産国と樹木の種類が印字されています。なぜかインド原産の鉛筆だけ水色です。樹木の色が濃いからでしょうか。なんか目立ちますね。
ブラジル、ギニア、フィリピンの色が好きですね。ギニアのアフリカンパドックは木目に荒々しさが感じられて、いい味を出しています。
木目の質感がいいですね。ローズウッドやウォールナットに見られるように、木目の窪みが大きいところなどは野性味があっていいですね。
裁断した部分です。それぞれ独特の表情をしています。樹木鉛筆は、普通の鉛筆に使われる木よりもかなり堅い木が使用されています。種類が異なる樹木を加工する場合、木の堅さに合わせて削り方を替えなければならず、調整を誤ると機械のほうが壊れてしまうこともあるようです。熟練の技術が必要なうえに手間もかかるため、量産することは大変困難なのです。
ボールペンや万年筆などもいいですが、筆記具の原点に近い鉛筆の素朴さに触れると、何か懐かしい記憶が蘇ってくるようです。小さい頃、削りたてで先が尖った状態で書くことが気持ち良かったのを覚えています。あまり力を入れて書くと先が折れてしまったりして。ある程度書いていくと、だんだん先が丸くなってきて文字が太くなるんです。細く書いた方がきれいに書けるような気がしていました。削っていくうちに次第に鉛筆の長さが短くなっていくんです。あとこれだけしか残っていないとか、こんなに短くなるまで書いてきたんだ、というようなことを思いながら。そうした消耗感があることでモノとしての鉛筆をリアルに感じていました。
芯を削って書いてみたいのですが、なんとなくもったいない気がして悩ましいところです。子供なら迷わず大胆に削ってしまうのでしょうけど。
樹木の種類の違いというのは、書き味にも影響してくるのでしょうか。堅さが異なれば、芯との相性や手に持った時のフィット感にも違いがありそうな気がします。これだけ種類があると、書き味の違いというのは気になるところです。樹木の材質の違いによって書き味がどう変わるのか、試してみるのも面白そうです。同じ樹木から作った鉛筆でも、使用した部分よって書き味が違ったりして。もしそうであるなら、どれも1点ものの稀少な鉛筆ということになりますね。奥の深い鉛筆の楽しみ方が見えてきました。