PRINTSのリングノートです。数年前に香港で購入しました。
店舗は香港にいくつもありますが、訪れたのは中環のソーホーにあるお店で、坂を少し上がった中腹の細い路地を入ったところにあります。夕方暗くなってから行ったので、色とりどりの紙製品が店内の灯りに照らされて輝きを放っていました。このノートを見て思い起こすことは、ノートそのものの良さというよりは、小さいながらも外を歩く人を誘うような趣のある佇まいと、店に入って鮮やかな色とりどりの紙製品を見たときの高ぶった気持ちのほうが強く印象に残っています。
店の周辺には洒落たビストロなどが何軒かあって、仕事帰りの地元の人と観光客が一緒にテーブルを囲んでいるような光景も見られ、とても趣のあるエリアです。中環から北へ向かう道は急坂になっていて、しばらく歩くと息が切れそうになりますが、坂を歩きながら活気ある街の雰囲気を味わえるところが香港の街歩きの醍醐味ですね。細い通りなのに車がバンバン入ってくるので気を抜けないのですが。
香港には大きなショッピングモールがいくつもありますが、そうしたところよりも、街中の小路を歩きながら独立したこうした路面店で買い物するほうが好きです。小ぶりでセンスのいいお店に巡り合えるのが楽しいのです。
また、あちこちで改装中の店舗を見かけるのですが、そうした入れ替わりの激しさを感じることができるのも、街歩きならではの面白さです。
ノートにも表記されているように、PRINTSはスウェーデンのブランドかと思っていたのですが、創業はシンガポールとのこと。デザイナーはスウェーデンの人です。デザインのルーツは北欧にあるみたいですね。
原色系でカラフルなデザインが特徴です。真っ平らな明るいオレンジ一色だと、少し色がうるさく感じられますが、ほかにも黒などの落ち着いた色もあります。
中のページはすべて無地です。いろいろ書けそうです。こうして開いたときに左右のページをつなぐリングの形がかっこいいですね。
このページだけロゴが入っています。
Pの文字のデザインが素敵です。紙のパートナーであるインクが強調されたようなデザインになっています。
PRINTSの文字がうっすらと透けて見えています。
最近、リングノートに対する見方が少し変りつつあります。
以前は、ページがきれいに折れて平らになるので、とても書きやすくて気に入っていたのですが、今はどちらかというと糊付けして製本されたブックタイプのノートのほうを好むようになっています。
リングノートは紙がそれぞればらばらで、使っていくうちにリングから紙が切れて外れたりすることもあります。何となくノートというより紙のファイルやバインダーのように感じられ、事務用品的な印象を強く持つようになっています。仕事では機能性を重視してリングノートを使っています。リングノートはどちらかというと、開いているときのほうがカッコ良いですね。
ブックタイプのノートは、真っ平にならないので書きにくいところはあるのですが、きれいに製本されて紙どうしがそれぞれぴったりくっついている、その結束感というかまとまりのある存在感に魅力を感じます。機能的な使い勝手の良し悪しと、ノートそのものの存在感というか佇まいのようなものに感じる魅力は別のところにあるものですが、今はどちらかというとブックタイプのほうに気が向いているところではあるのですが。
とはいうものの、このノートを綴じているリングのマテリアルな質感と繊細な紙の組み合わせには独特の趣があります。ふと気づいたのは、この形状はどのノートでもほぼ同じタイプのものが使われていることです。機能性と耐久性を追求して行き着いたところがこの形なのでしょう。無駄のないシンプルなリングというアイテムは、決して目立つことはないのに実はものすごく頼りがいのある定番品なのです。リングノートの魅力というのは紙そのものではなく、紙をつないでいるリングのほうにあるのだと思い至りました。