東京富士美術館で開催中の「ロシア絵画の至宝展」を観てきました。
国立ロシア美術館が収蔵する作品の中から約40点が展示されています。出品数は少ないものの多数の作家の作品があり、層の厚さには驚きました。ロシアの絵画に触れられることはあまり多くないので貴重な機会でした。
多くの風景画がありましたが、普段見ることの多いヨーロッパの絵と異なるのは自然の捉え方です。ヨーロッパの絵の場合、穏やかで陽気な風景を描いたものが多い印象があります。のどかな海辺や浜辺、色鮮やかな田園などが思い浮かびます。一方、今回見たロシアの絵は自然が見せる荒々しさを強調するような作品が多いように感じました。この荒々しさというのは、単に自然の猛威というのではなく、この時代を生きる人々を取り巻く生活環境の厳しさを象徴的に表現しているように見えてきて、描かれた風景から社会の盛衰を見透すことができるようにも感じられます。社会の様相が風景に色濃く映し出されている点がロシア絵画の特徴のひとつであり、そそこがヨーロッパの作品と異なるところではないかと考えます。
意外にどの作品も描き方が繊細で緻密です。光の取り入れ方や濃淡織り交ぜた鮮やかな色彩など、じっくり見入ってしまいました。質素でありながら起伏をもって織られている民族衣装のなども立体感があって素晴らしいです。
特に気に入った絵は以下の作品です。
ワシーリー・マクシモフ「将来を夢見て」
イワン・シーシキン「森の細道」「白樺の森の小川」(画像1点目)
イリヤ・レーピン「サトコ」
ワシーリー・ポレーノフ「草花の生い茂る池」
イワン・アイヴァゾフスキー「海辺の朝」「第九の怒涛」(画像2点目)
その他、多くの作家の作品を鑑賞できました。ゆったりと自分のペースで見て回れたので良かったですね。ロシアは絵画だけでなく文芸大国でもあるので、これを機に芸術全般への理解を深めてみたいと考えています。