![IMG_20220307_155325](https://livedoor.blogimg.jp/hanakasan/imgs/a/e/ae7a7cd1-s.jpg)
愛車のアコードが車検を迎えたのでいつもお世話になっている整備工場に持って行きました。事務所での手続きを終えて外に出たところ、車をひととおり見たメカニックから驚愕の事実を聞きました。「ABS警告灯が点灯しているので、このままでは車検を通せません」と言われたのです。「えっ!どういうこと?」メカニックから話を聞いた瞬間に凍りついて言葉を失うとともに、呆然とその場に立ちすくんでしまいました。確かにずっと前から警告灯は点灯していたのですが、特にブレーキに異常は感じられず、普通に走行できていたので特に気に留めることもありませんでした。それに、確か前回の車検時のときにも点灯していたはずで、そのときは車検に通っています。おかしいと思ってメカニックに聞いたところ、数年前に検査基準が改定されてABS警告灯の点灯はNGになったとのこと。しかも、修理するにはABSユニット本体を交換する必要があり、20万円近い金額になるそうです。ただ、年式が古い車なので部品が確保できるかどうか分からないとの話でした。いずれにしても、このままでは車検に通すことができないとのことで、乗り換えるか廃車にするかという選択肢を案内されました。
![IMG_20220307_154904](https://livedoor.blogimg.jp/hanakasan/imgs/0/c/0c607300-s.jpg)
私の愛車は1994年式のアコードセダンで、中古で購入してから22年間乗り続けてきました。もともとセダンが好きだったこともあっていろいろ探していたなかで、たまたまアコードが目に留まって購入したのですが、初めから特に強いこだわりを持っていたわけではなく、乗るほどに愛着を持つようになり現在に至るまで愛用してきました。さすがにボディの塗装もかなり剥げてきているのですが、まだ乗れそうなのでラッピングしてきれいにしてみようかと考えていたところでした。今だにエンジンは快調で乗り心地も申し分なく、車検を通してまだまだ乗り続ける気満々でした。
そうしたなかで直面した想定外の事態に本当に驚きました。
ただ、このとき考えたのは警告灯の点灯だけで高額な部品全体を交換しなくても、ヒューズや配線などの電装系を確認してみて一部の部品交換やメンテナンスだけで正常に戻せるのではないかということです。新品の部品はなくても中古品で代替して対応できそうに思えたのです。なにせ長年運転してきて最近に至っても快調で特に異常を感じることはなく、警告灯ひとつで乗れなくなる、ましてや廃車にするなどとうてい受け入れられませんでした。
そうはいっても実は車検の期日が迫っていて、例えば今から他の整備工場を探して持って行くにしても時間がなく、これはもう買い替えるしか選択の余地はないと判断しました。もちろん車検が切れた後でも、対応できる整備工場が見つかればレッカー車で搬送して見てもらうことは可能ですが、それで本当に治る保証はないし、やっぱりユニット本体をまるごと交換するしか方法がないかもしれません。ここは思い切って乗り換えるタイミングのような気もするし、そのほうが賢明だと考え、修理することは断念しました。
20年以上乗り続けてきたので、さすがにもう乗り換え時かなと考えていたところはあるものの、一方で、まだ乗れるならとことん乗り尽くしてしてみたいという思いもあって、どうするか最後まで悩みました。販売店で下取りしてもらえることになり、値段も少しついたので、いったんは手放すことにしたのですが、長年付き合ってきた相棒でもあり思い入れも強く、後になって、今から戻してもらうことが可能かどうか販売店に聞いてしまったほどです。でも最終的には完全に乗り換えることにしました。廃車になるのか、分解されて使える部品だけ残されるのか、あるいは復活してまたどこかで走ることになるのかは分かりません。少なくともエンジンだけは生き残ることを信じたいですね。いずれにしても、ここまで故障せずに走り続けてくれた愛車にはただただ感謝しかありません。
これまで故障らしい故障もなく、定期点検と車検時に消耗品を交換する程度で、それ以外の故障で修理に出した覚えがありません。本当に優秀な車でした。もっとも車の使用頻度は決して高くなく、ほとんど遠出することもなく週末に短い距離を走るのみという乗り方をしてきたこともあって走行距離は76,000㎞です。年数の割にまったく走っておらず、故障がないのも当然と言えばそうかもしれませんが、それでもかなり丁寧に乗ってきたという自負はあるし、なるべく車に負荷をかけないような乗り方をしてきたことが、年式の古さによる経年劣化を抑えられた要因ではないかとも思っています。それだけにまだまだ走れる余地が大きいという点も簡単に手放したくなかった理由のひとつです。
ABS警告灯についても、もしかしたら本当にシステムが動かない状態になっていたかもしれません。たまたま今までシステムが作動するようなブレーキングをする機会がなかっただけで、実際に急ブレーキをかけたらロックするということもあり得たわけです。大事に至らなかったのは偶然だと言うこともできそうです。
遡って考えてみても、この警告灯がいつから点灯していたのかは覚えていません。点灯した時点ですぐ点検していれば簡単に治せたかもしれないので、今までほったらかしにしていたことは少々反省しています。運転していてまったく異常を感じないことにかまけて電子制御の警告をないがしろにしていました。単なる配線トラブル程度に考えていたところもありましたから。
![IMG_20220307_154317](https://livedoor.blogimg.jp/hanakasan/imgs/7/f/7f455f98-s.jpg)
長く乗り続けてきた理由として、このアコードの好きな点がいくつかあります。ひとつはダッシュボードのデザインです。丸みを帯びてさらっと拡がっていて、きれいな曲線のなかに何もない感じがどこか砂漠を彷彿させるものがあります。運転しながらよく目をやっていました。それからボディを後ろから見たときのルーフから後部座席のドアとトランクにかけて流れるラインとテールランプが好きですね。主張を抑えた低いリアスポイラーもかっこいいです。それから、雲の上を滑るような柔らかい乗り心地と小型車ではないのにミリ単位で発進するような繊細な走り出しの感じも運転していて本当に快適でした。そして、すぐ手に取れる位置にいつも小さいノートを置いていました。事前に調べておいた目的地までの道順を書いておいたりしました。
このように、乗り込んでいくほどに少しずつその良さに気づき、魅了され、本当にいい車であることを実感していくうちに、代えがたい愛着と親しみを持つようになっていきました。
米国や欧州などで並みいる外国車にもまれながら上質のセダンを追求してきた歴史が刻まれていて、海外の人たちの嗜好を織り交ぜながら洗練を重ねてきたという国際色を帯びた生い立ちにも魅力を感じます。
世界のアスファルトで鍛えられたセダンという物語に強く惹かれるのです。
そうそう、ちなみに買い替えた車はもちろんアコードです。それも最新型ではなく2005年式です。この車もまたかっこいいのです。さて、今から何年乗り続けられるでしょうか。前の車を超えられたらいいですね。