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東京・天王洲にある寺田倉庫G1ビルで開催中の
「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」を観てきました。

映画監督ウェス・アンダーソンの作品に登場しそうな世界の風景を投稿するInstagramコミュニティがあるそうで、そこに寄せられた写真で構成されています。
代表作に「グランド・ブダペスト・ホテル」があります。ホテルを舞台にした映画で、見たいと思っていて結局見られなかった記憶があります。

鮮やかなパステルカラーに目を引かれる写真が多く、単なる風景というより旅行者が特段気を留めることのない、さりげなく佇んでいるようなものに焦点が当てられています。これがウェス・アンダーソン作品の特徴なのかどうかは分かりませんが、写真に収められた独特の佇まいを持ったものたちを見ていると、普段、旅行に行ったときに見ている視点とはまたひと味違った角度からの光景が見えてくるような体験ができました。


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映画館の入り口です。上映作品のワンシーンではありません。



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陽に照らされて輝くように明るい壁が眩しいです。暗いように見えるエントランスや室内とのコントラストが鮮やかです。



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荷物の見張り番をしているのでしょうか。このようなクラシックなスーツケースが欲しくて以前からずっと探しています。なかなかお気に入りのものに巡り合えていません。



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こんな細い橋で物をを運び込めるのかな。



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足場がないくらい小さいところに乗っていますね。怖そう。



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ホテルか銀行の入口かと思ったら駅でした。



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シンプルな看板がいいですね。



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古いけど乗り心地の良さそうなタクシーです。



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地面と屋根のストライプがいいアクセントになっています。



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椅子が食パンに見えてしょうがないです。色合いが絶妙な焦げ加減です。そういう見方をすると、天井に吊るされた白い三角形の旗をホイップクリームに見立ててしまいます。



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ホテルかと思いましたが廃墟となった工場です。いっそのこと砂のベッドをこしらえて寝てみたら意外に気持ち良かったりして。



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チョコレート工場の貯蔵タンクです。かわいらしい色です。



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小ぶりなブロックとストライプが醸し出す繊細な雰囲気がいいですね。



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道路の急カーブに囲まれるように立つホテルです。営業してなさそうです。通りすがりの旅人が利用していたのでしょうか。



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”Discover Adventure everywhere around you”
あなたのまわりは旅のヒントにあふれている

展示されている写真の多くにあるパステルカラーが浮いて見えるからなのかCGで合成しているようにも感じます。大きな風景の中で存在が小さく見られることに対して反旗を翻しているようにも見えてどこかコミカルな印象を持ちます。

 

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誰もいないプールにひとりぽっかりと浮かぶ。気持ち良さそう。



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透明感溢れる澄んだブルーがきれいです。



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直線と曲線が抜群のコンビネーションです。水面に映るラインが揺らいでいるところなど、ラグジュアリーさを一層深めています。



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ホテルの窓からの眺めです。鍵穴みたいな形がおもしろいです。



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同じ木材なのに組み合わさると木目の多様さが際立っていい味が出ています。自然の造形美が活かされた外観の美しさに惚れ惚れします。



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シンプルな望遠鏡です。こんなに細い棒では簡単に折れてしまいそう。



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灯台ってこんなにおしゃれでしたっけ。



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電話があってもまず意識することないですよね。でも、こうして正面に置いて風景のなかに入れてみると主役に見えてきます。



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きれいな色の小屋を見てペンギンたちも大喜びです。



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ライフガードの監視台です。海水浴場にはたいてい設置されているのでしょうが、まず気にして見ることはないものです。



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レンガを積み上げて築かれた大きな壁が素敵です。ポストも満足そうに佇んでいます。
私はしないのですが旅先から手紙を送る人もいます。今はデジタルツールがあるので瞬時に連絡を取ることが可能ですが、せっかく旅に出たのだから時間を贅沢に使ってみるというのもありですね。



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宿泊客から預かった手荷物を保留しておく倉庫かと思いきや、スーツケース屋さんでした。どれもみんな欲しいタイプのものばかりです。こういう小さい鞄を手に持って旅するのが一番かっこいいと思っています。



出品された写真に写っているのは、ほとんどの旅人が特に目に留めることのない取るに足らないものかもしれません。しかし、こうしてじっくり見てみると、ひと味違った風景が浮かんできます。その秘密はパステルカラーにあるような気がします。場所や形は変えられずとも色の持つ力を使ってその存在感をアピールし、見慣れた風景に新しい視点を提供しているのではないでしょうか。こうした発想や美意識に注目して旅をとらえ直してみるというのも面白いですね。

実は出品されている写真の多くが左右対称になっているのです。私も気づくまでに時間がかかりましたがよく見てみるとそうなっています。対象物が真ん中にどんとあって、左右ともほぼ同じ構図なのです。これは投稿コミュニティが実施している作品コンテストの条件のひとつとされています。これもアンダーソンの映画に関係するところなのでしょうか。展覧会のタイトルに「すぎる」とあるように、ウェス・アンダーソン作品の特徴を先鋭化したコンセプトをもとに企画されたということなので、まずは映画の原典にあたって映像作品のなかでその世界観に浸ってみようと思います。