
夏季休暇で台北と九份に行ってきました。
待ちに待った海外旅行、今年の夏は叶いました。台北を訪問するのは6年ぶりです。今回は少し遠出して九份へも足を運んでみました。3泊4日の台湾旅行です。飛行機はチャイナエアラインの早朝便を利用し、羽田から台北松山空港へフライトしました。

初日は永康街や赤峰街などを散策したのですが、台風の影響もあって開いているお店がほとんどありませんでした。松山文創園区やランドマークの台北101も完全にクローズしていました。被害を想定した対応の早さはさすがです。台北は雑貨などの小物を売っているお店がたくさんありますが、風雨で商品が乱れやすいことを考えると、店を開けないのは理にかなっていることなのでやむを得ません。
それでも華山1904文創園区は開いていました。以前訪問したことのあるVVG Thinkingに行ってみようと店を探したのですが見つかりませんでした。移転か撤退したのでしょうか。残念でした。今回は行きませんでしたが姉妹店のVVG Somethingのほうはまだあるのかな。
中山駅前にある誠品書店南西店にも行きました。お洒落なお店がたくさんあって、ついつい時間を忘れてしまいますね。フードコートで大好きな炒飯を食べて、お腹もしっかりチャージできました。

ミラマーガーデン台北に宿泊しました。
お部屋はちょうどいい広さで落ち着いた感じです。床には控えめながら洒落たデザインがアクセントになっていてモダンな雰囲気もあり、なかなかいいお部屋です。大通りの喧騒も気にならず、快適に過ごせました。

部屋に戻って、備え付けのメモと筆記具をチェック。
ホテルのロゴが入った鉛筆です。

芯の先がとてもきれいに削られています。

がっちりとした厚いドアで、セキュリティの面も安心です。

なんと、トイレの壁にも額絵が飾られています。

エレベーターホールにも。
部屋でお茶やコーヒーを飲むためのウォーターサーバーも備えられています。

ウェルカムドリンクとケーキのセットをいただけることになっていたのでレストンに来ました。
天井が高くてテーブルもゆったりと配置されていて落ち着いた雰囲気です。

紅茶とレモンケーキをいただきました。

ホテルの最寄り駅は忠孝新生駅です。駅から少々離れているので徒歩だと10数分かかります。バス停もありますが、本数が少なそうなのと路線が複雑で運行ルートを確認するのも大変そうなので、地下鉄のみで移動しました。

近くに台北科技大学があり、その校舎に沿って歩いて行きます。広い歩道には大きな樹が連なっていて緑が豊富です。強い日差しを遮ってくれるのでとても助かります。この樹は面白い生え方をしています。小さな幹がいくつも重なり合ってひとつの大木を形作っているのか、あるいはもともとはひとつの大木だった樹が少しずつ裂けていって、その間に小さな幹が入り込んでいくうちに絡まり合いながらできたのでしょうか。深遠な時間を経て形成されてきた痕跡がうかがえる樹ですね。

校舎のすぐ脇にはこのように緑がいっぱい連なって茂っています。

ちょうど雨が降ったり止んだりしていたときなので、葉に浮かんだ雨露が陽に照らされて、きらきらと瑞々しい光を放っていました。ずっと緑を眺めながら歩けるので、少し長い移動でも苦にならないですね。

2日目は迪化街へ行きました。依然、天候が優れないため閉まっている店が多く、人通りも少なく閑散とした感じでした。ところどころにこうした風情ある露地があります。しばらく眺めていると、昔ながらの台湾らしさに触れるようで気持ちが安らぎますね。こんな通りの並びに、いいカフェがあったりするんです。

ということで、開いているカフェを見つけました。通りに面したお店がカフェで、奥の扉から外に出て中庭を歩いた先には食事ができる別のお店があります。2段構えとは素敵ですね。
店内の壁には世界の街角を撮影した写真が何枚も飾られていて、旅の情緒が大きく膨らみます。たっぷりと注がれたコーヒーは格別のおいしさでした。

3日目になりました。いよいよ九份に向かいます。
地下鉄で松山駅まで行って、台湾鉄道に乗り換えて瑞芳駅まで行き、そこからバスで九份老街まで行くというルートを選びました。台北から九份までバスだけで行くこともできるようですが、時間的に早いのと、鉄道を使ったほうがゆったりできそうな感じがしたのでこの経路で行きました。台風の影響があるためか乗客も少なく、快適でスムーズに移動することができました。

九份ではウインザー・サンライト・ハングアンに泊まりました。
商店街を歩いて行った先の高台にある民宿です。
実は、宿に着いたときに想定していなかった事態に遭遇しました。
宿の入口にチェックインについての案内が掲示されていました。電話するか、LINEかWe ChatかWhats APPか、いずれかの方法で連絡するように書かれています。携帯電話はあるものの、電話もネットも繋がらない状態にあります。宿は目の前なのにスタッフが誰もいません。どうやって連絡したらいいの?チェックインできない状況に陥ってしまったのです。
私は海外旅行の際はホテルの外では携帯電話を使うことはほとんどありません。いつも、SIMカードを使用することもなければWi-Fiのレンタルもしません。それでも万が一というときに通信キャリアの国際ローミングで接続できるように、一応、携帯電話は持っています。写真も撮りますからね。
でも、この段階で通信できる状態に設定することはしたくなかったのです。
さて困ったということで何か方法がないか考えていたら、そういえばウインザーと名の付く民宿は何軒かあることを思い出し、他の宿に行ってみたら何か分かるかもしれないと思いつきました。しかし、場所も定かでなく、今から地図で調べて歩いて行くというのもおっくうなので、近くにある観光案内所で相談してみることにしました。スタッフの方に事情を話したところ、なんとその場で連絡を取ってくれました。こちらが日本人であることを伝えてくれたのか、日本語が話せる民宿の人につないでもらえました。名前を告げたところ、待っていましたとばかりに、すぐに案内所まで迎えに来てくれたのです。本当に助かりました。観光案内所の方には感謝しかありません。
宿まで荷物を運んでいただき、ようやくチェックインできました。
実は民宿から私の携帯電話にCメールを送っていたというのです。私はまったく気づいていませんでした。ごめんなさい。そうか、Cメールなら届くんですね。こちらからも返信できたのかな。
そうか、民宿のような個人経営の宿泊場所では、こまめに連絡を取って柔軟に対応してもらうことができるし、むしろ、そうしたやり取りができることが民宿に泊まることの良さであることに気づきました。そこそこ高級な民宿だと思っていたので、スタッフが常駐しているであろうと思い込んでいましたが、実際はそうではなかったのです。事前の確認不足でした。
秘境地に行くわけでもなく、先進の情報環境が整った台湾への旅行だからこそ、情報ツールを使いこなしながら動くところに旅する甲斐もあるのではないかとも考えたのですが、結局は外でネットにつなぐ必要が生じたのはこの時だけだったので、複雑な心境ではあります。
チェックインの際に、九份でおすすめの食事処、カフェ、デザートがおいしいお店をいくつも教えてくれました。それから、展望スポットも紹介してくれたので散策の参考にしました。ラインのアドレスも交換して、チェックアウトの時間を連絡できるようにしてくれました。

大きな窓からの眺望がとにかく素晴らしいです。
ベッドの上からもこの絶景。

ソファの前にある窓からも。

そして、ひじ掛けいすからも。この大画面です。
映画館のスクリーンさながら、すっきりした大きな窓です。

山から海へと続くなだらかな傾斜がいいですね。

右手には大きな山が。

下に目をやると続々と九份を目指して連なる車が見えます。

山間に密集するように民宿や住居が並んでいます。海の光景もいいのですが、こうして山の斜面に沿うように緑の中から顔を覗かせている建物群には情緒を感じます。部屋からの見晴らしが良さそうな解放的な窓を見るのが特に好きですね。

九份には山を横断するように横に伸びている道路がいくつかあり、民宿を降りていったところに軽便路という道があります。東は金瓜石から九份を通って瑞芳まで、西は基隆までを結んでいて、物資を運搬したり人を輸送するための鉄道として昭和初期に開通しました。狭いレールの上を、人力で速度を制御しながら進むトロッコが走っていました。少しの力でかなりのスピードを出せるものだったので軽便車と呼ばれ、この鉄道も軽便路と名付けられました。九份では最も平坦な道路のようです。
こうした歴史の変遷を想像しながらこの道を眺めていると、かつて金鉱が発見されて栄華を極めた時代が彷彿と蘇ってくるようでもありながら、そうした時代が嘘であるかのように閑静な道となっている今の静寂さに浸っているという、静と動が織りなす歴史の変遷に思いを馳せました。

インテリアや壁に装飾されたアートも素敵です。

何といってもグリーンのソファが快適です。

窓からの絶景を眺めていたら、一日ここにいても飽きないですね。

小さいテラスもあります。360度見渡せて解放感抜群です。

宿の近くにある展望スポットからの光景です。

台風の影響もなんとか最小限に持ちこたえてくれました。

民宿の方がおすすめしてくれたアイスクレープのお店です。もっちりしたやわらかい生地でアイスクリームを包んで食べます。たひとりで食べるならそのままで、二人ならきれいに半分に切ってくれます。粉末状のピーナッツが入っていて甘さも控えめ。絶妙なおいしさです。

有名なお茶屋さん、阿妹茶楼です。夜になったら赤提灯が灯ってきれいなんだろうな。

散策中に見晴らしのいい場所から眺めた夜の九份です。真っ暗な山と住居の灯りのコントラストがいいですね。

やさしく照らされた明かりが山間を彩っています。

夜の阿妹茶楼です。美しいですね。窓からこぼれる光が幻想的で本当にきれいです。さすがにこの時間になると人手も多くなってきました。階段を昇り降りするのにも一苦労です。

賑やかな九份の街並みですが、上を見上げると夜空に灯るいくつもの赤提灯。心が和みます。

近くの食堂で海老炒飯と肉団子スープをいただきました。おいしいです。

お店が閉まった後の商店街です。人通りもなくひっそりとしています。

宿から少し歩いたところにある展望スポットに行ってみました。ここからは九份側の景観を望めます。明かりが灯る様子がとても美しいです。

夜の暗闇に灯る九份の明るい光。旅人が疲れを癒す憩いのひとときです。

宿に戻ってきました。明るい電子看板がお出迎えです。また明日。

九份の朝です。今日は天気が良さそうです。

遠くに見える孤島の岸壁の荒々しい様子が分かります。

朝食の時間になりました。スタッフの方が朝食を届けてくれました。

絶景を眺めながらいただく朝食、最高です。厚いベーコンと新鮮なレタスを挟んだサンドイッチがおいしかったです。

山の頂もきりっとしていて、今日は一段とたくましく見えますね。

九份を離れる前に、おみやげを買いました。ひと口サイズのパイナップルケーキです。

こちらはストロベリークラッカーです。
民宿のスタッフの方が荷物を運んできてくれて、九份を後にします。
週末で天気も良くなったこともあってか、まだ午前中ですが通りは人で大賑わいです。今日はこれから大いに混雑しそうな雰囲気です。人出がいくらか緩やかなときに散策できたのでラッキーでした。

再び台北に戻ってきました。初日に行ったときは閉まっていた永康街にある好公道金鶏園に行きました。今日は開いていました。

小籠包と卵スープと揚げパンを頼みました。
どれも思った通りのおいしさで大満足です。意外にも、ついでに注文した揚げパンが想定外のおいしさでびっくり。パンというよりドーナツみたいな感じです。何もつけてないプレーンな味で、食感といい、まろやかな甘さといい、絶品でした。

こちらは海老麺です。塩味がきいたすっきりした味でおいしいです。

いろいろなお店を回ってけっこう歩いたので公園で一休み。大きな樹に囲まれていて涼を取るとまではいかないものの、熱い日差しからはいくらか逃れられました。
台風も収まり、休日でもあるからか多くの人が憩う姿が見られました。観光に来た人だけでなく、地元の子供たちなども集まっていて遊具で楽しそうに遊んでいました。

この公園の樹も年季の入った姿をしています。大きな穴が開いているようにも見えますが、折れずに立っていられるのですから驚きます。周りに絡まっている幹や枝が支えになっているからなのでしょうか。いつまでも旅人たちのオアシスを守ってほしいですね。
この後、松山空港に向かって夕方の飛行機で日本に帰国しました。これまで台北には何度か来ていて、今回は九份にも行くことができました。いずれまた台湾に行く機会があれば、今度は台南のほうを巡ってみたいと考えています。見どころ満載の台湾。楽しみが尽きません。