
麻布台ヒルズギャラリーで開催中のアレクサンダー・カルダー展をに行ってきました。「そよぐ、感じる、日本」と題された展覧会では、代表作のモビールをはじめ、絵画、ドローイング、彫刻などの作品を鑑賞しました。
「モビール」という表現物はカルダ―が発明したものとされており、動く彫刻とも言われる作品は近代彫刻の概念を一変させたとも評されています。展示作品からは多くのインスピレーションを得ました。
三角形や台形のような形をした板が繋がりながら微妙なバランスのなかで静止しています。これは地球の五大陸を表現しているように見えました。左右に分かれて、それぞれ個別のつながりを持ちながら全体として秩序が維持されているという感じです。少しでも重心がずれると、たちまちのうちに形が崩れてしまう危うさと紙一重にあるささやかな安定が表現されています。

お猿さんのデッサンです。尻尾を描いた線が生き生きとしていて、ぴきぴくと動いている様子が伝わってくるようです。

五大陸に小島が加わりました。ますます地球に見えてきました。

水上を軽快に疾走するヨットでしょうか。風の強さと向きに応じてマストの位置が変えられるのでしょうか。穴の大きさも変幻自在だったりして。

細かく枝分かれしながらつながっています。樹木と枝と葉ですね。

鮮やかな色彩に眼を惹かれました。様々な生き物が生息する海の中を表現しているのでしょうか。

外に向かって放射状に飛び出そうとする大きな力を感じます。

赤・黄・青の三色でくっきりと表現された円があります。安定したバランスのいい色の組み合わせとされています。

たくさんの作品が集められたアトリエのようです。

花瓶に活けられた花ですね。種も見えます。

赤い円と繋がっている四本の線の結び目がきれいです。細いのにしっかりとつかまっている感じがいとおしいですね。

とても繊細に作られた作品です。地球儀のようでもあり、星の軌道を描いた銀河系を表現しているようにも見えます。下の丸い部分は異次元の世界でしょうか。でも一本の線でつながっています。

針と糸ですね。きれいなオレンジ色に織られた布が鮮やかです。

線と円の饗宴です。等間隔で網状に組まれた線は絶妙なバランスを見せています。渦巻き状に円を形成している線はバランスを崩さないように強固に結び付いて固定されている状態が表現されてます。
絵画でもモビールや彫刻作品においても、カルダ―の作品では丸い形と線がモチーフとされているように感じられます。細い針金を穴に通して絶妙なバランスを図るような作品制作を続けるなかで、線や円の形状やマテリアルの質感に対する思い入れやこだわりへの意識的な表現であるように感じられます。天井から吊るされてぴんと張った一本の線を基軸に、どの位置につなぎ目を作ればバランスが取れるか、その一点を探ろうとする試行錯誤の繰り返しのなかで生まれたものかもしれません。
線について言えば、縦横無尽に変形しながらどこまでも無限につながっていくものであり、飛んで行こうとするものをつなぎ留めておくこともできるし近くに引き留めておくこともできるもの。円については、そこに到達して貫通するには労力を求められるものの、いったん通過できればその向こう側には自由な世界が待っているという解放感への期待や未知との出会いへの好奇心。円と線との組み合わせからはそんなイメージが浮かんできました。

宙に浮いた天球は衛星でしょうか。

かすかに動いて浮遊する様子は、波間を漂う廃棄物を連想しました。自然な揺らぎは波の満ち引きを連想させるもので、モビールの特性がよく表れている作品だと思います。

生命誕生の瞬間です。