香港滞在中、ちょっと時間があったので、
縁起がいいと評判の黄大仙寺に念願のメトロに乗っていってきました♪
(香港は、本当に地下鉄が便利なんですよ〜☆でも、そのお話はまた今度)
地下鉄の駅をでてすぐに、人の流れでお寺をみつけることができました。
香港でのお寺参りは初めてで、
何をすればいいのか、全然勝手がわからないので
まずは、注意深く周りを観察。
ふむふむ、どうやら、
みんな、線香を買っている。
よし、私も!と、出店までつかつかと歩き、
「線香!」と日本語で言ったら
(私の経験上、漢字文化圏諸国では、熟語は日本語と発音が似ている場合が多いので、名詞をはっきり音読みすれば、なんとな〜く通じる気がします。
だから、日頃は、「お線香」なんてちょっぴり女の子らしく「お」をつけたりしている私ですが、こういう場所では、はっきり「せ・ん・こ・う!」と元気よく発声するよう心がけています。とにかく名詞オンリーな処世術です。)
「テンドル」と、普通に通じて、第一段階は無事突破。
でも、この線香の量が半端じゃないんです。
まさか、この時、次におこる苦労なんぞ、知る由もなく、
地元のみんなと同じことができる〜☆っていう喜びと希望で心はいっぱいでした。
さぁて、イザ!私も境内へ。
と、足を踏み入れた瞬間、もう、別世界!
あたり一面、モクモクと煙がたちこめていました。
何事?火事?炊き出し?と、びっくりしていると、
持ちきれないほどの大量な線香を両手で束にして頭の上にかかげた人々が、
(しかも、その先端から、たっぷりとつけられた火が猛烈な煙と火の粉を吐き出していました)
あっちに行ったりこっちに行ったり、結構な勢いとスピードと密集度で動いているので、
ぼ〜っとつったっているのは、かなり危ない状態でした。
とにかく私も火を!と、我に返り、
人ごみをかき分け、上から落ちてくる線香の煙と火の粉と格闘しながら
境内をうろうろすること5分、ようやく火種を発見しました。
小雨がパラついて、しけていたせいもありますが、
大量の線香に火をつけるのが、こんなに大変なことだとは思いませんでした。
火種は、透明なガラスケースの中に入っていて、
ガラスケースは、4方向に丸く穴がくりぬかれてあって、
東西南北の各方向から、みんなが一つの火種に向かって、大量の線香に火をつけようとガラスの中に、突っ込んでくるんです。
まず、その穴が線香の量にしては、ギリギリのサイズで、
私みたいに、他の荷物を持っている人は、小分けにして、火をつけることもできないし、
いきなり、全部に火をつけようとしても、無理だから、他の人と譲り合いながら、
ちょっとづつ右側から攻めていこうと、心の中で計算はしていたものの、
なかなか火がつかない!
他の人は、かなり器用につけているのに・・・と、
私の後ろに並んで待っている人も気になって
ますます、心は焦っていくばかり、でも、焦れば焦るほど、
束が緩んできてばらばらになり、反対側にもつけようと、
必死に火の方向に手をねじってみたら
今度は、火の粉が指に落ちてきて「あちっ!」ってことになったり・・・
いろんなプレッシャーを感じながら、点火作業を黙々とつづけていると
人間の心境の変化っておもしろいもので
はじめは、「観光客で何もわからない人間だと馬鹿にされたくないから、楚々と作業をすませて、みんなに迷惑をかけることなく帰りたい」という
スマート論理を掲げていたせいもあって、
「ヤバイよヤバイよ、周りの目が怖いよ〜
線香全部に火なんてつけなくていいから、適当にこの場を退散すべきだよ〜」
なんて、叫ぶ自分がいたのに
そんな焦りもマックスを超えると、今度は
「せっかく来たんだから、きちんと、みんなと同じ作業をこなして、帰らなくちゃ意味がない。きっと、これこそが、鍛練なんだ。このプレッシャーを感じながらも、落ち着いて淡々と作業をこなす修行を乗り越えなければ、私は、みんなのプレッシャーに負けたという言い訳で、自分自身に負けたことになる」
というよくわからない、勝手な妄想思考回路にかわってきて、
ここまでくると、もう、こわいものなし。
おちついて、周りの人の顔を見まわし、私と同じように、ちょっと
手こずっている人に、笑顔を投げかけて、
「too difficult」って話しかける余裕まででてくるからびっくり
よく考えると、後ろで待っている人も、意外とそんなにイライラしているわけでもなさそうで、私ひとりが勝手に騒いでいただけなんだなぁ〜なんて、改めて小心さを恥じました。
無事、点火作業を終え、後ろの人にちょびっと会釈をして
ここからが、本番!
私も、みんなと同じように、両手で線香を束にして持って、頭の上に掲げて、
本堂の前まで、ずんずん進んで行って、
(もう、恥ずかしいとか、そんな気持ちは超越してました)
他人の火の粉か自分の火の粉かわからないけど、
手に落ちてきて熱い熱いと思いながらも、逆に心はすがすがしくて
本堂の前でみんなと同じように3回お辞儀をして、お祈りをして
香を立てる香灰が入った大きな鉢に線香を一つかみ分挿して
また、3回お辞儀をして、また挿して・・・を繰り返し、
自分の空間をキープしながら
すべての線香を無事、お供えすることができました。
やった〜!
何をお祈りしたかは正直忘れてしましましたが、
一人で、異文化の中に入って、その文化を共有し、やることをやった
という達成感が
とっても幸せでした。
ちょっぴり成長した気がします☆
境内を出て、ふと一息ついたら、体中が灰で真白。
近くで手を洗って、あとは細かいことを気にせず、パンパンって鞄と服についた灰を適当に払って、ちょっと、煙くさかったけど、清涼とした気分でメトロに乗って帰りました。