EU新条約発効まで、あと1年。
あれだけ、反対していたアイルランドが今月2日の国民投票の結果、EU新条約への批准が可決した。
加盟国27カ国すべての批准がないと、EU条約は発効されない。
さぁ、最後の1国となったチェコはどうするのか。
みんなの意見が一致する条約なんてできっこない。
始めはみんなそう思っただろう。
「粘り勝ち」という言葉がふさわしいのかわからないが、
かたくなに拒み続けていた市民が、時間と回数を重ねるごとに、賛成へと傾いた。
2年前のサブプライム破綻に端を発した世界恐慌が、地域経済の統合と団結を促し、人々の心を変えたのだろう。
まさに、「危機」こそが人々を妥協へと訴えかけ、伝統と決別し未来への前進を後押ししたといえる。
一方で、本当に全員がEU条約に賛成したわけではなく、
そこは、多数決という数の論理があり、
49と51という数字の狭間に立たされた、たった1人の投票行動で、
何百万、何千万人を抱える国の方針が180度ひっくり返されてしまうのだ。
アイルランドの場合も、当初は、「EUの中で小国扱いされるのはいやだ。経済的な立場や発言力が不利になるなら、アイルランドは独立独歩で生きる。」という風潮が流れていたが、
数年たって気づいたら、「まぁ、EUと仲良くやったほうがいいかなぁ〜」
というふうに、すこ〜しずつ心を動かす国民が増えていて、ある時期を境に、その民意の勢いが過半数を超え、あっという間に国がひっくり返ったという興味深い事例だ。
多数決というシステムの政治力学にひさびさに感動している。
ところかわって、アジア太平洋。
鳩ちゃんが一生懸命「友愛」の延長で叫んでいる「アジア共同体構想」。
今は、ほとんどの人が、実現不可能だと思っているが、
でも、鳩ちゃんのように、少々、大げさにでも、芯を貫いて、叫び続けることが大事なんだと、感じるようになった今日この頃。
特に中国と日本がアジアでの覇権をめぐって争っている時期に、
本当の欲望は心の下にしまいこんで「みんなで仲良くしましょう」
と提唱することは、意義深い。
なんとなく上っ面で中身がないと言われようと、宇宙人と揶揄されようと、
「みんな仲良く」の大看板で、とりあえず、共同体の雰囲気を醸し出し、「みんな(アジア諸国)の総意が必要なんだ」という正統性を伝家の宝刀とすれば、
中国が「アジアの巨人」として猛威をふるい、日本を脅かすという危険性も減るだろう。アジア圏で「突出したナンバーワン」を作らないことが、日本の生き残る道だと思う。
今は、同床異夢でもなんでもいい。とにかく、日本は「鳩ちゃん」という強烈なブランド品を手に入れたのだから、共同体構想を唱え続けて、鳩ちゃんが数十年後にノーベル平和賞をとる!というロングスパンの目標で、サポートしつつ、アジア経済圏で、日本産業の存在感、立場を確保できる戦略を推し進めてほしい。
(この際、個人的好みは度外視して、退任後は、おしどり夫婦でアジア共同体を歌ったディナーショーでも開いて、外交特使としてアジア諸国を行脚し活躍していただければ、日本のソフトパワーも全開だと思う。)
「ちょっと変わってるけど、面白いのが日本人。害がないし、楽しいから仲良くしよう。あわよくば、利益になるし〜」
コワモテ党の中国。
統一したら日本のGDPを一瞬にして抜かしてしまう韓国・北朝鮮連合。
日本がどうやって生き残るかを考えたら、アジア共同体内で「日本大好きっ子」を増やすしかない。アイドル張りにファン層を増やし、多数決の場で必ず支持を取り付ける手法こそが国際社会で生き残る唯一の道だと思う。
さて、話はもどって、チェコ。
なぜ、チェコはEU新条約を批准しないのか
クラウス大統領によると
「第二次世界大戦後にチェコから追放されたドイツ人が没収財産の返却を求める恐れがある」からだそうだ
・・・・。
あまりピンとこない。
でも、きっとチェコの人々には、日本人には分からない歴史感情があるのでしょうね。
すべては時が解決してくれる。
逆に言えば、大きな変革を起こすには、時がかかるから、焦ってはいけない。でも、そこに、戦略があるかないかで、変革後の勝敗が大きく分かれる。
みんな仲良く。でも、よきライバルで。お互い切磋琢磨しあいましょう☆
そうそう、アメリカが、最近、とっても焦っていますよね。
その意味では、鳩ちゃんすご〜い。
このお話は、次回。それでは