人々の心のつながりが薄くなっている現代。
秋葉原での事件以来、一週間ほど人間社会の「あるべき姿」について、考え悩んでいました。
正しい答えなど存在しないのは分かっていますが、
今の日本社会が肥大化しすぎて、メタボになり、動脈硬化寸前の瀕死状態であることには間違いないでしょう。

最近の『蟹工船』ブームやマルクス主義再考ブームは
世の中がバランスを失っていることを肌で感じさせます。

自由主義(資本主義)と平等主義(共産主義)の狭間で、どっちに価値観を置いてよいのかわからない不安定な苦しみを日本社会が抱えているのでしょう。

自由といってもその価値基準は貨幣。常に数値化され追い立てられる人生。
平等といっても、常に他人を気にし、監視され、束縛されるのは息が詰まる。

この両者の「いや〜な部分」の風が左右から強く吹き付けてくる中
バランスを取りながら人生を歩き続けることは
28年しか生きてない私にとっても、すでに、いかに辛くて過酷なことか
身をもって経験してきました。
でも、精神バランスを崩さずに歩き続けるしかないんです。
それが、人生なんだって、崩れかけたときに気が付きました。

今生き続けていることが奇蹟。
今歩いている道がどんなひどい道に思えても、立って歩き続けていること自体が素晴らしいことで、
この、自分にとっての「今」が存在している蔭には時空を超えた数えきれない人の支えがあることを感じること、
「お陰さま」という感謝の心を芽生えさせること、
それが、「答え」へとつながる道だと信じています。

そんな沈鬱とした気分で、いろいろな文献を読みあさっていたら
国際関係の雑誌『Foreigne Affairs』 の3・4月号で取り上げられていた
デンマークの労働政策に目がとまりました。
http://www.foreignaffairs.org/20080301faessay87207/robert-kuttner/the-copenhagen-consensus.html

Flexicurity = Flexible(柔軟性)とSecurity(安全保障)を併せ持った労働政策

「自由」と「平等」という通常相容れない概念を共存させることに成功した政策なんです。

競争率が世界第三位のデンマークでは、従業員の首を切る行為に規制がほとんどかかっていなく、
生産過剰になり、社員が多くなりすぎたら、会社は比較的簡単に社員を解雇する風習があるそうです。
これだけを聞くと、え?!なんて、怖い社会なの?って思っちゃいますが、
そうじゃないんです。
どんどん解雇されちゃうんですが、その後の手当てが厚くて、
失業したら、給料の90%が最大4年間保証されて、再就職訓練を受けることができるんです。(というか、再訓練を受けないと給付金がストップされます。このあたりは厳しいです)
会社側は労働力の流動性を保つことができるので、人手不足の時は気軽に人を雇い、いらなくなったら解雇するという柔軟性で、経営効率を最大化し、会社の成長力をつけることができます。
労働者側は、手厚い保護があるので、失業が怖くないし、転職するたびにスキルアップできるし、みんなしょっちゅう解雇されるので、転職というものにネガティブイメージが全くなく、(国民の70%が転職はいいことだと思っている)
そんな気軽なものだから、なんと、デンマーク人の平均転職回数は6回、毎年3人に1人が転職しているんです。(にも関わらず、就業率は世界でもトップクラス)

そして、もう一つの大きな特徴は、サービス業の地位が他の地位と変わらないということ。清掃業など、日本だとあまりよいイメージがない職業が、メーカー勤務の人と変わらない給料とブランド力をもっているそうです。
(もちろん、政府による補助金やプロ育成機関など援護射撃があるからです)

そのかわり、税率は5割。高いです。

どの社会システムがいいのか、日本がいきなりデンマークのflexicurityをそのまま輸入することは、歴史的・文化的背景が異なるので、無理がありますが
このように、自由資本主義を保ちながら、安心した社会民主主義を実現している国が存在するという事が、私の心をいやしてくれるし、希望をいだかせてくれます。

たしかに、政府や社会から、あれこれ指示されるのはちょっと「うざい」かもしれません。
でも、ちょっと「うざい」と思いつつ、「仕方ない」と妥協して、「意外とありがたい」とたま〜に感謝の気持ちが芽生える。

素敵な精神バランスの高い社会だと思いませんか?
そんな社会がどうやったら今の日本でくまなく実現できるんでしょうね。

どう考えても今の日本は人口が都心に集中しすぎています。
なんとか分散させて、地域共同体の活動を強化=人と人との結びつきを強めるうまい政策はないものか・・・
って考えると、道州制に希望を感じます。
東京を離れたくない人も多いでしょうから、東京だけは特別区で二重の住民票が取れるようにするとか、積極的にデュアルライフを推進していってほしいと思います。