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Q.比較検討場面がうまくいかないのですが,どのようにしたらいいでしょうか。

A.これは算数の問題解決授業で苦戦している教師に共通する悩みだと思います。比較検討を成功させて活発な議論とするためにはポイントがあります。その中で,今回は話題をねらいからそらさないで焦点化した話合いにするための工夫についてお伝えします。

比較検討場面のポイント
課題」から起こる「問題」で,話合いに向けた視点をもって自力解決に取り組めるようにする


5年生の「合同」を例とします。
課題:次の三角形と合同な三角形をかこう
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子どもたちから考えを引き出して話し合わせたいたいのは,合同の3条件を用いた作図方法です。
❶三つの辺の長さを等しくする       → 底辺から,コンパス,コンパスでの作図
❷1つの辺の長さと両端の角の大きさを等しくする → 底辺から,分度器,分度器での作図
❸2つの辺の長さと間の角の大きさを等しくする。 → 底辺から,分度器,コンパス(ものさし)での作図

では,このまま課題のまま自由に自力解決をさせて,話合いにもっていくとどうなるでしょうか。。。。。
▲まったく取り組めない子が現れるため,比較検討で発言する人数に制限がかかる
▲はじめの辺(底辺)をどこにするかが話合いの論点に入ってしまう
 →自分の底辺の向きと違うために発表したことを理解できない子どもが多くなる
 →合同3条件と底辺の3つの順も生じてしまい,3×3=9通りの解決方法となり,話合いがぼやける。
 →辺をかく順番に目がいってしまう。

 課題から,視点を絞り込まないで自力解決に入ってしまったときに,すでに比較検討は深まらないで失敗となってしまうことが確定してしまっているのです。自力解決は子どもたちに主体的に取り組ませますが,なんでもかんでも自由にしていいという自由解決とは異なります。

 先日,この授業を実施しましたが子どもたちが積極的によりよいものを選ぼうと,活発な比較検討となりました。それは,次のように自力解決での話合いを予測して,自力解決の視点を仕組んだからです。
課題:次の三角形と合同な三角形をかこう
「三角形ABCのかき方は今まで学んでいます。まず,底辺BCをかきましょう。」
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「あと何が見つかれば合同な三角形がかけますか?」
頂点Aです。」
「そうですね。頂点Aの見つけ方を考えましょう。それでは今日の授業の問題です。」
問題:頂点Aの見つけ方を考えよう

 このように課題から問題を起こして,自力解決の視点を残りの頂点の見つけ方に向けて自力解決に入ります。
 底辺がかかれた同じ状態からのスタート。頂点Aをどのように見つければいいかということに着目させることによって,合同3条件に目を向けた話合いの仕込みになっているのです。
 比較検討で採りあげたのはもちろん❶❷❸の方法です。底辺の向きが同じ状態から始めたことによって,話し合うことがすでに絞られていたので,検討の方向が合同図形の3つの作図方法に結びついていくわけです。
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 このように,深めたいところをポイントとして自力解決で視点をもって解決させることが,比較検討を成功させる下準備となります。現在の算数の教科書には,数で解決する「課題」だけではなく,「問題」となる解決の視点が記載されています。授業前には答えとなる数やだけでなく,引き出したい考えでとまらずに,どのような視点で自力解決に入らせるかを準備しておくことが大切です。