指遊び 脳生き生き…折り紙、ゲーム楽しもうぜんそくの子 接種悩む、優先だが…アレルギー不安

2009年10月02日

ぜんそくの子 接種悩む、優先だが…アレルギー不安

ぜんそくの子 接種悩む、優先だが…アレルギー不安

 健康水泳教室での感染も心配

 新型インフルエンザについて国のワクチン接種方針が正式に決まったが、「基礎疾患がある人」として優先接種の対象となったぜんそく患者からはなお、不安の声が上がっている。横浜市でぜんそくの男児(12)が先月死亡するなど、重症化する例が目立つからだ。持病のある入院患者の約6割は呼吸器系疾患とされ、ぜんそく児の健康作りのための水泳教室など自治体の事業も、集団感染を考慮し、継続か中止かで対応が割れている。専門家は「さらなる情報提供が重要」と指摘している。
 「集団感染は怖いですが、この教室に来て健康を取り戻した子は大勢いる」。東京都江戸川区主催の「風の子水泳教室」で指導するローマ五輪競泳銅メダリスト・竹宇治聡子さん(67)はそう語る。毎週50人以上のぜんそく児が、医師と看護師が待機する中、体力作りに取り組んでいる。 読売新聞 主要ニュース 医療と介護【医療ニュース】2009年10月02日 10:19:00 この記事は参考資料です。転載等は各自の責任で判断下さい。

 同区では9月以降、水泳教室の送り迎えの保護者にマスク着用を奨励し、控室には消毒薬を置いており、竹宇治さんは「予防を徹底し、できれば教室は続けたい」。9歳男児を通わせる主婦(41)も「感染は心配だけど、教室に来てから発作が少なくなった」と話す。 

 一方、名古屋市では、8月下旬のぜんそく児対象のキャンプで感染者が出たため、9?11月に予定していたぜんそく児の水泳教室を取りやめた。担当者は「キャンプには医師や看護師も同行し、子供も無事回復したが、1人でも感染者が出た事実は大きい」と説明。東京都墨田区も今月下旬に予定していた「音楽療法教室」を中止した。担当者は「大勢で歌ったりするため感染リスクが高い」と話す。

 ぜんそく患者には他のアレルギーを持つ人も少なくなく、ワクチンを接種すべきか悩むケースも目立つ。国内産のインフルエンザワクチンは製造過程で鶏卵を使い卵アレルギーのある人は注意が必要とされている。

 江戸川区の水泳教室に長男(9)と長女(7)を通わせている主婦(37)は「水泳教室のおかげで子供の体調が良くなったが、2人とも卵アレルギーがあるため、ワクチン接種は受けられない。感染は怖いけど、仕方ない」と話す。

 食物アレルギーの子を持つ親の会(東京都)の武内澄子代表は「卵アレルギーの子供がぜんそくも持っているケースは多く、ワクチンを接種して良いのか相談が多数寄せられている。そういった専門的な情報が少ない」と指摘する。

 医師で、日本喘息患者会連絡会常任顧問の清水巍(たかし)さん(67)も、情報が少ないと感じている一人。今月から、東京都千代田区や京都市などで開かれるぜんそく患者交流会で、予防や感染後の対処方法について講演する予定だ。清水さんは「行政や医療機関はきちんと説明することが必要」と話している。

 ◆Q&A 重い呼吸器障害の例も◆

 Q ぜんそくがあると、注意した方がいいの?

 A 厚生労働省によると、新型感染による入院患者で持病があった人の約6割は、ぜんそくを含む慢性呼吸器疾患があった。子供では、ごく軽いぜんそくや、すでに治療の必要がなくなった子でも、新型感染で重い呼吸器障害を起こした例がある。過度に神経質になる必要はないが、日本小児科学会は「軽いぜんそくでも注意が必要」としている。

 Q 日ごろの注意点は?

 A まず、ぜんそく治療をしっかり行う。うがいや手洗いに加え、睡眠を十分取り、体調管理を心掛ける。かかりつけ医がいない場合、呼吸器科、小児科などでぜんそくを診てくれる医療機関を探しておく。夜間などの緊急受診先も聞いておく。

 Q せきや熱などの症状が出たら?

 A かかりつけ医などにすぐ電話で受診の相談をする。夜間、休日の受診では、事前の電話で必ず、ぜんそく患者であることを伝える。じっとしていても息苦しいとか、呼吸音がひどい場合は救急車で受診する。厚労省のホームページで、ぜんそくがある人の注意点を詳しく紹介している。

ワクチン万能ではない/流行期に間に合うか/副作用の可能性
 新型インフルエンザ対策として、ワクチン接種が10月中旬から始まるが、接種時期が流行のピークに間に合わない可能性もある。

 ワクチンは接種後、免疫を獲得するまで約1か月程度かかり、最優先の医療従事者でも効果が出るのは早くて11月中旬。しかし、タミフルなどのインフルエンザ治療薬が豊富に備蓄されているため、悲観する必要はない。ワクチンは持病のある人などの重症化を一定確率で防げるが、効けばもうけもので、効かない可能性もあるからだ。

 ごくまれに起きるとされる副作用も気になる。季節性インフルエンザワクチンの場合、発熱やはれなどの副作用は少ない。新型用の国産ワクチンも通常の季節性ワクチンと製法が同じで、10月中旬に判明する国産ワクチンの臨床試験結果を待たないといけないが、副作用も同程度の可能性がある。

 海外産ワクチンは免疫を高めるため、国産では未使用の添加剤を使っており、効果が高い反面、副作用が少し強めに出る可能性を指摘する研究者もいる。東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は「ワクチンの効果と限界を理解した上で、タミフルなどによる治療や、手洗いや感染者のマスク励行などの予防とを組み合わせる対策が大切」と強調している。

 インフル治療薬の予防投与「推奨せず」

 厚生労働省は1日、新型インフルエンザ患者と接触し感染が疑われた人へのインフルエンザ治療薬の予防投与について、「特段の理由がない限り、推奨しない」と、医療体制などの方針を定めている同省の運用指針を改定した。治療薬タミフルなどの乱用により、耐性ウイルスが発生することを防ぐのが目的。ただ、持病のある人が感染を強く疑われた場合は、医師の判断で予防投与できるとしている。



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