2012年09月30日

*内容の紹介は、基本的に記憶頼みで書いておりますので、書き手の記憶違い認識不足読み違い等はご容赦ください。
(メモを取れよという話だわい)




とりあえず借り物分の記録。
本年度分は、ぼちぼち上げていければいいなー。


市大樹『飛鳥の木簡―古代史の新たな解明』
<今年のいつ頃かは憶えてないのですが、奈良で木簡出土、というわりと大きな扱いの新聞記事が出ていて、その写真の木簡がちっとも読めなかったのは憶えています(専門家でないので当たり前ですけど・笑)。
でも、この本を読んで、大宝律令以前は「評=郡」だったのかーん?そういえば教科書だったか補助教材だったかにそう書いてあったような(遙か記憶の彼方だ)…とか、7世紀は万葉仮名以前だったのかー(大陸よりも朝鮮半島の影響が強かったそうで)とか、当時の名前は絶対読めません! とか、いろいろ興味は尽きませんでした。
一番興味深かったのは、著者の方としては、木簡は史書を否定する史料ではなく、補助強化する側面が強い、という言葉ですね。その代表的なものが所謂「大化の改新」である、と。
勿論、歴史書は都合のいいことしか書いていない、という批判を証明するにしても反駁するにしても、同時代の史料は多ければ多いほど良い、ということになりますから、木簡はこれからますます重要なものになります。幸い、上記のように出土が相次いでいますから、この先がまた楽しみです。
そして、私のようなただの歴オタが、研究者の上澄のみを掬って愉しむのです(笑)。←ひでぇ
でも、1月に奈良に行った時も思ったけれど、木簡の何が楽しいって、時折描(書)かれている落描(書)きが一番だよ。1300年が一気に身近になるようだ。>

橋本治文 岡田嘉夫画『仮名手本忠臣蔵』
<岡田さんの絵が好い。
の、一語に尽きるかと。
子どもが見て楽しめる絵かどうかはともかく(笑)。
勿論橋本先生の訳(と言うのか文章と言うのか)も平易でうつくしいのですけれど。『八犬伝』などもそうですが、勧善懲悪ものは、人形浄瑠璃や歌舞伎(や時代劇)の動きを含む媒体と比べると、現代語では特に迫力を失うかな、という印象なので。個人的には、ちょっと違和感が残るのです。歴史的仮名遣いだと、今とリズムが違うので、そんなこともないと思います。
でも、本の冒頭に書かれている橋本先生の言葉が素晴らしくて。生きていると、間違いも思惑とずれることも進退窮まることもあるけれど、そういう時にどういう行動をとるのか。昔の、それも創作された話だけれど、そういうところにも注目してほしい、ということがもっとじんとくる文章で書かれてます。
全体的には大人が楽しめる絵本ですが、ちいさい頃に日本文化に触れる入門書としてはこれだけ贅沢なものもないのでは、と思います。>

Shaun Tan『The Arrival』
<つべこべ言わずに読め!
と言いたくなる絵本です。
まずタイトルからして良いもの。
そして、世界観、画力、表現力、構成力、情感、どれを取っても文句なしに圧倒されます。
ちいさい頃にこの本に触れられた子は、絶対しあわせ者だよ…。
岸本さん(下記の翻訳者)がオビで「訳したかった」と言っていらっしゃるのがよく解りますよ(笑)。文章なしでこれは、本当にずるい!(最大限の賛辞)>
同上『The Lost Thing』
<これもまた良い。
タイトルは、たぶん本篇の最終頁に掛かっているんではないかな、と。「迷子」は、本当はどっちなんだろう。
作者自身がひとりで制作したというアニメも観てみたい!
しかし、これ、日本語版作るの大変だったろうけど、楽しそうだなぁ。遊び心いっぱいだ。
でも、画面での遊び心は、ホッパーくらいしかわからなかった…(しかもそれも、訳者の指摘を受けて、しつこく脳内検索をかけてみてのことだからなぁ…むむむ)。>

小野不由美『鬼談百景』
<淡淡とした語り口で読みやすく、面白かったです。
怪談話の作法(?)にのっとって、伝聞形式の話で。なのに登場人物が、わりと詳細に語られていたりとか、怪談ってツッコミどころ満載だよね~感が巧く再現されていて、楽しかったです。
そして勿論百物語の作法にのっとっていて、ニヤリです。
上記からも判るとおり、あんまり怖くはなかったですが(あくまでも私の主観です)。
あ、でも、背景等が詳しく語られない尻切れトンボの話の中には嫌な感じのものもありました。
けれど、やはり一番怖いのは生者ですね(笑)。>
同上『残穢』
<こちらも淡淡として、面白いです。時系列は、ちょっとわかりにくかったですが(私が数字が苦手だから、という説もある)。
上記ともども「実録怪談」という分類に入るようです。その分野には疎いので、どこからどこまでをどう線引きして受け取れば良いのかには、少少戸惑いますけれど。
残留した穢れ、という考え方は、どうなんだろう、ギリギリ「信じる」側ではない、ということなのだろうか…。
上記に収録の話のひとつ(以上)に関連していますが、読んでいなくても支障ありません。でも、読めば「ああ、あれかー」と、ニヤリとできます(笑)。>

鈴木知之『虫の卵ハンドブック』
<なんでこんな形になるのかなー、とヒトが不思議がるものでも、きっと理由があるんだよなあ。
生き物ほど面白いものはない。
まぁ、この本を活用して云云という発想は、どこを振ったって出てきませんがね、もう年寄りだから(笑)。
ミリメートルの世界は無理です。せいぜい大きな卵鞘に包まれた、目に付きやすいものが関の山ですとも。>

金森誠也『一日古代ローマ人』
<創作以外で断定的な言い方はあまり好きではありませんが(しかも古代ローマは、大まかに分けても王政期、共和政期、帝政期と分けられ、千年以上続くのだから、それをいっしょくたにされても…と思う)、入門書としてはこんなものかと。
イラスト沢山でわかりやすいです。>

マーク・ローグ ピーター・コンラディ著 安達まみ訳『英国王のスピーチ―王室を救った男の記録』
<映画観たいー(観れば)。
ライオネル・ローグのお孫さんが著者のひとりですので、史料の信頼性は高いですね。現在とは少し違うでしょうけれど、イギリス王室と一般市民の関係性の、雰囲気が伝わってきて、興味深いです。
『Black Out』と『All Clear』(8月31日付記事参照)がちょうど二度目の大戦期のことなので、事実確認にも良かったですー(をい)。>

三浦しをん『お友だちからお願いします』
<著者自己申告通り、よそいき仕様ですが、相変わらず面白いです。
しをんさん(馴れ馴れしいですが、お父様も三浦先生なので、まぁなんとなく・汗)の小説も勿論面白くて好きですが、エッセーは、出た分は(ネット上のものも)全て読んでおりますだって面白いから。文章が上手い上に、間のとり方の感覚が合うので、私には読みやすいのです。
あ、勿論小説も面白いですよ(何故二度言う)。>

西田賢司『わっ! ヘンな虫―探検昆虫学者の珍虫ファイル』
<中米コスタリカで昆虫の研究をなさっている著者の、エッセーというか、研究紹介です。装丁は子ども向けのようですが、大人が読んでも勿論面白かったです(というか、大人にこそ読んでほしいんじゃないかな)。
熱帯雨林から高山植物帯まで、日本の国土よりちいさい面積に多様な地域が凝集しているコスタリカでは、毎日新種の昆虫に出会えると言っても過言ではないそうです(すごい)!
読んでいると、心底虫が好きなんだなー、敬愛しているんだなー、というのが伝わってきます。正しく生活全般昆虫漬け(笑)。
だからこそ、国土の四分の一を国立公園に指定して保全に努めている環境立国のコスタリカですら、保全地域外での環境破壊が進んでいることを心配されていることや、外来種が半分を占めて固有種が脅かされているハワイの現状を憂えていることや(探検昆虫学者という聞きなれない仕事は、ハワイの外来植物の天敵となる昆虫を見つけ、駆除の一助としようというプロジェクトに協力する仕事を言うそうです)、都市部と山里海の乖離が著しい日本を寂しく思っていることが、説得力を持つのですよね。繫がりから離れて生きられるものはないと知っているから。
…そうは言っても、御器被りさんにはできればお会いしたくないですし、蚊は叩き潰しちゃいますけれども(笑)。
著者が力を入れているとおっしゃる通り、写真がとてもうつくしいです。熱帯の生き物の、原色の美です。生き物ほど面白いものはない。
ま、中には、エイ〇アンみたいなものもありますけどね(笑)。>

都甲幸治『21世紀の世界文学30冊を読む』
<翻訳者でもある著者が、邦訳のあるものないものごちゃ混ぜで欧米の「今」の文学を紹介した書評集。
所謂「文学」なるものとはあまりお付き合いのない私ですが、面白そうなものならなんでも読むよ、て訳で、目を付けた作者のものを何冊か読むつもり。無論邦訳で。
…著者は原文で読んでみることを勧めておられますが、そんな語学力があれば苦労はしない。私は基礎だって怪しい人間なんだ(威張るな)。
原文で読めたらなぁ…、と思いつつ邦訳を待つ。怠惰なものですとも…。>




五月生hanatokobato_1102 at 00:00│コメント(0)トラックバック(0)読書 │

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