NAPA seminar2016-1













「終わり良ければ、全て良しっていう、諺が日本にはあるんだよ。」
「私、いつかミスター花里に言いましたよね?私たちは同じ船に乗ってるんだって!」

2013年の7月から関りを持ち、8月からの2年間は公共政策大学院を設立するプロジェクトのチーフアドバイザーとして共に歩んできた、ベトナム国家行政学院(NAPA)。
日本からの協力の総仕上げとして、ファイナルセミナーを2日間(3月4&5日)に渡り実施しました。

冒頭の会話は、セミナー終了後の夕食で隣に座ったホア国際協力局長とのもの。
行政学院が政治学院から分離独立し、内務省傘下に戻った時、予算をすべて削られて苦しい悔しい想いをしたこと。リーダーの交代により、マイクロマネージメントの権化のような副大臣の下、全く仕事が進まない状況で、我慢強く我々を説得したり、泣きついたりしたこと。プロジェクト活動に批判的な学部長を時間をかけて説得して最後には良き理解者にしたこと。
彼女が国際協力局長としてNAPAの各部署の調整や内務本省との調整にあたってくれたからこそ、今日の晴れやかな日があるといっても過言ではありません。
彼女だけではなく、多くの苦しみと焦りを一緒に味わったNAPAの先生方も晴れやかな笑顔でセミナーに参加しました。

2日に渡ったセミナーの初日はNAPAの先生用の特別講義です。日本から国立人口問題・社会保障研究所の森田朗所長(東大名誉教授)、明治大学の中邨章名誉教授、早稲田大学のトラン・ヴァン・トウ教授らが、行政システムや政府自治体の機能等についての貴重な見識をご披露くださいました。

2日目は、場所をNAPAからホテルに移して大規模なファイナルセミナーとなりました。
用意した椅子が足りなくなるほどの盛況でした。

セミナーへの日本からの参加者は、前日の講師の3先生に加えて、東大政策研究大学院長の城山英明教授、政策研究大学院大学の横道清隆副学長、同じく高田寛文教授と日本国内でもなかなかそろわない公共政策・行政学の超一流メンバーです。早稲田大学の縣公一朗教授はビデオでの参加となりました。
そしてベトナムからは、内務省のクオン副大臣、レ・ニュウ・タインNAPA学院長代行、グエン・ダン・タイン前NAPA学院長(副大臣)、ハイン副学院長、キエム・タイン副学院長、レ・チー・マイ教授、ホン・ハイ教授、経済大学タン教授と、ベトナムの行政学界を代表するメンバーが揃いました。

プロジェクトで実施したベースラインサーベイで取り上げた事例研究の発表に続き、その事例を使った指導手法や考察にかかる発表と意見交換。
発表と議論を終えて「あー、良かった。」と安堵しました。

内容が非常に優れたものだったからです。昨年末にNAPAがマスターコースの学生募集を始めたとき「中途半端な内容で始めたら、学生に失礼だし、一度落ちた評判は元に戻らないよ。」と思っていたのですが、そんな事を思った自分が恥ずかしくなるほど、素晴らしい考察と具体的な教授論でした。
ベトナムでは”なんでも始めてしまえば何とかなる”という考え方が主流のようで、あまり準備ができていないものでもどんどん先に進めます。このマスターコースがそうならないよう願っていたのですが、どうやら大丈夫そうで、一安心です。

私も発表の機会をいただき、プロジェクト活動の振り返りを行いました。NAPAとともに働き出してもう3年近くが経つのですが、改めてNAPAの先生たちとの日々を振り返ると嬉しくもあり、寂しくもあり。将来、日本の地方行政の専門家としてNAPAの教壇に立つことも約束しました。

日本の先生方からのコメントもNAPAの成果を高く評価するものでした。特にプロジェクト立ち上げに係わった森田先生と城山先生からは「3年前、正直なところこのような形での成果が期待できるとは思わなかった。」とこの3年間のNAPAの成長を認める発言が続きました。

ダン・タイン前学院長から「とても素晴らしい成果だ。ただし、この発表に関してのことで、ほかの科目全てが同じレベルの質を確保できているわけではないはず。日本から指導いただいた科目もベトナム側でまとめた科目もすべてがこのレベルの到達できるよう、更に頑張る必要がある。」との発言があり、”こういう人がいてくれる限り、NAPAの公共政策大学院の未来は明るいナア”と改めてホッとしました。

実は私にとってのNAPAはその多くがダン・タイン学院長との思い出でです。2013年の7月に東京で初めてお会いし、その理論的な思考と包容力に感銘を受けました。プロジェクトの進め方や体制についても侃々諤々の議論を続け、夜は夜で思いっきり酒を飲み、気持ちを分け合った古くからの友人のような、先輩のような存在です。定年退職後に不遇な環境に置かれた後も、プロジェクトのことや私のことを気にかけてくれいろいろとサポートしていただきました。

そのダン・タインさんから夕食のお誘いがありました。久し振りにゆっくりと酒を飲みながら政治と行政についてお話が聞けそうです。
NAPA seminar2016-2勉強して帰ります。