佐久市のある会社の社長さん。
「うちもインドネシアから研修生を何年かにわたり受け入れてたことがあるんだよ。」

実は佐久市の製造業や建設業等では多くの企業が途上国からの研修生を受け入れています。いろいろなところで話し・聞く機会が増えた最近は、研修生を受け入れたことがある会社の数の多さにびっくりするほどです。

昨日の社長さんの話は研修生の実態をよく表していました。
・最初の頃に来た人たちはすごくまじめに働いてくれて、言葉もすぐに覚えて、お金を計画的にためて故郷で事業を起こしたよ。よく手紙もくれる。
・短い時間で日本語を覚えて、3年いた留学生よりもはるかに立派なスピーチをしてくれた。
・イスラム教だけれども、日本にいる間はラマダンもやめてハラールではないものも食べるという形で対応してくれた人もいた。力仕事だから、持たないんだよね。
・後のほうになると真面目なんだけれど、結局はお金の問題で失踪したりして、半分くらいしか残らないようになってしまった。人が良くて真面目でも、金銭面での問題が表面化してしまったね。
・どうも、間に入った現地機関から大分お金を借りて、それを返すのに大変で、手取りなんかあまりなかったみたいだ。こちらは日本人並みの給料を払っていたのに。
・農業分野の研修生で川上で働いていた中国の人たちは大変だったね。訴訟問題にまでなったものね。やっぱり、気持ちよく働いてもらうにはそれなりの処遇と対応が必要だね。
・看護とか介護とかになると、どうなんだろう。命にかかわることや実際に人と直接的にかかわることが多いと抵抗感がある人もいるかもね。
・どちらにしろ、何らかの形で研修生の皆さん無しには成り立たない社会になってきているのは確か。しっかりとした制度で、信頼できる人に来てほしいし、来てくれた人には佐久の生活も楽しんでほしいね。
等々、大体報道されていることや私が他の人から聞くことと、大凡似たり寄ったりの経験をお持ちのようです。

ここには大きな問題が2つあります。
1.正式な受け入れ機関を通じて受け入れた研修生でも、事前の途上国内の選考において国内ブローカーに多額の借金をして研修生の身分を手に入れている研修生がいること。この場合、前借を返す必要があるので、受け入れ会社が相応の給料を払っても、本人の手元にはほんのわずかしかお金か残らない場合があります。途上国の賃金上昇と日本国内の賃金下降により、日本で働くメリットが低下してきたのと合わせて、研修途中で逃げ出してどこか給与の良い危ない仕事に就き、結局は不法就労になってしまうケースが増えているようです。こういう場合は、帰国後「日本が嫌いになった。」という人が多いです。
→これを防ぐには、受け入れ企業が研修生受け入れのシステムを十分理解し、研修生に不利益を与えない渡航や就労環境を整備してやることが不可欠です。これには国際経験・理解のある自治体のサポートが必要ですし、もし自治体が途上国の自治体との受け入れ協定等を結んでの、公式な形での受け入れ態勢が準備できれば尚更に良いでしょう。
2.仕事がきついから、ラマダン(断食)はさせない。栄養が取れないからハラールじゃないものも食べさせる。というのは、良くないですね。確かにイスラム教では旅行中のラマダン(断食)は免除されて旅行後返せばよいのですが、長期の海外就労がそれに当たるか否かは疑問です。ハラールじゃないものを食べるのはどのような事態でも許されていません。インドネシアのモスリム(イスラム教徒)は割と緩い人がいるので、何とかなったのかもしれませんが、中東諸国のモスリムにこれを求めたら、大騒動になります。
→イスラム圏の研修生を受け入れるのであれば、それ相応の受け入れ態勢を構築すべきです。モスクの整備とかハラール食料情報の提供、相互理解の場の形成等で自治体の活躍の場がありますね。

いずれにせよ、地域の産業・経済の一翼を担う活躍をしている途上国からの研修生のみなさん。もっともっと地域の一員として認知し、地域を守り育てる仲間として一緒に暮らせる環境整備が必要なのは火を見るより明らかです。

特にこれから国内人材が不足する介護分野では、フィリピンの人の明るく優しい性格、ベトナムの人の年寄りを敬い大事にする勤勉な性格等が高く評価されて、今後の介護人材の一翼を担うことが予想されます。”外国人””途上国の人”というネガティブなイメージではなくて、日本人と同様に優しく、面倒見がよくて専門知識がある”隣人””友人”を敬意と感謝の気持ちをもって佐久に迎え、この街の一員として暮らし働き楽しむ市民となってもらう時期が到来しています。