富山に政治・行政コンサルタンティング業務で出張してきました。
災害や気候変動に強い、復元力のあるまちづくり、という観点からのコンサルティングでしたが、議論の中で「富山型のデイサービス」が注目を浴びました。
どの国のどんな企業や組織を富山のパートナーとして迎え、富山の戦略作りを進めるかという議論の中で、「高齢化社会への対応」というワーディングを見つけた私が指摘したのは、「社会的弱者である高齢者や障がい者、乳幼児などを対象とした”富山型デイサービス”が注目を集めていて、比較的先進的な対応をしている市だと認識していたが、その現状や方向性はどうなっているのか?」という点。先進的な試みを更に進めるのか、活動がどのように定着しているのか、その成果をどのように評価して今回の戦略策定に反映するのか、知りたかったからです。

先方の答えはすごくあっさりしたものでびっくりしました。
「すでに全国展開が進み、富山型から全国標準になってます。」「行政の支援規模には大きな変化はなく(県と市からそれぞれ400万円の補助金)、安定した拡大傾向をたどっています。」と自慢するでもなく、さらりと説明。

さて、富山型の特徴は、
・高齢者
・障がい者(障がい児)
・乳幼児
を同じ施設で受け入れること。通常の施設はそれぞれ別個に対応していてそれぞれが重複した機能や設備を持っているけれど、支援が必要な人たちに一緒にサービスを提供することにより、より効率的に、そしてみんなが喜ぶ効果的な支援が可能となるという点です。

富山型デイサービスのキーワードは小規模・多機能・地域密着!
(小規模) 一般住宅をベースとして、利用定員が15人程度であり、家庭的な雰囲気が保たれている。
(多機能) 高齢者、障がい者(児)、乳幼児など利用者を限定せず、誰でも受け入れ対応する。
(地域密着) 身近な住宅地の中に立地しており、地域とも交流が多い。

もともとは、病院を退職した3人の看護師さんが始めたデイケアハウスで赤ちゃんからお年寄りまで、障がいのあるなしにかかわらず受け入れたことから始まったこのサービスですが、行政との連携が進み、特区に認定されたのち制度がどんどん整備され、規制緩和も進みました。規制緩和は主に人員や施設の配置義務の緩和として具体化しました:
●専門職員(指導員、保育士)の配置義務を緩和→指定通所介護の配置基準(介護職員、看護師等の配置)を満たしていれば専門職員の配置不要。
●障がい者、障がい児専用の訓練室の設置義務を緩和→高齢者との共同利用が可能となった。

この緩和のメリットとしては、
●初期投資の軽減:高齢者用、障がい者用などの複数の施設を設置する必要がない。
●経営の安定:利用対象者が拡大することで、利用者を確保しやすくなる。
●スタッフの確保が容易:必要な職員の数が少なくて済む。
という点が挙げられています。
一番のメリットはこのような経営的な面よりも、サービスを受けられる人の数が増加し、サービスの質の向上にも直結した点を挙げておくべきでしょうね。

受益者(サービスを受ける人たち)にとって、どんな効用があったかというと:
①高齢者:子供と触れ合うことで、自分の役割を見つけ、意欲が高まることによる、日常生活の改善や会話の促進
②障がい者:居場所ができることで、自分なりの役割を見出し、それが自立へとつながっていく効果
③児童:お年寄りや障がい者など、他人への思いやりや優しさを身につける教育面での効果
④地域:地域住民が持ちかけてくる様々な相談に応じる、地域住民の福祉拠点としての効果、などがあげられています。

このような様々な効果が実際に発現し、デイサービスが地域のつながりの強化や人と人のつながりを支える拠点となりうるのであれば、これを佐久市にも積極的に取り入れてみてはどうかと思います。
「地域密着型介護」という、最近頻繁に話題に上る市民ニーズへの一つの回答となるかもしれません。
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富山市市役所の全景。さすが40万都市というスケールで行政が展開されています。