詩人安東次男と駒井哲郎が協同して制作した詩画集、『人それを呼んで反歌という』に収められている作品に、「食卓にて、夏の終りに」があります。
見開きの画面左側半分にワインの壜、右側にバスケットに入ったパンが描かれた白黒の銅版画です。
安東によればこの作品は、サルバドール・ダリが聖餐(せいさん)にちなんで描いた「パン籠」という静物画に着想を得て詠んだ安東の詩に、「呑んべえ」の駒井が「さっそくブドウ酒壜を横に添えて」つくったものだったということです(「『人それを呼んで反歌という』覚書」『版画芸術』77号)。
駒井はとにかく酒をよく飲む版画家でした。普段は紳士なのに、ひとたび酒を口にすると、手に負えない飲んだくれに変身することもあったといわれます。
駒井が夢と現実を区別せずに制作したことや、孤独感や虚無感、不安などをかかえた版画家だったことなどを考えると、駒井と酒と銅版画制作の関係はとても示唆的です。
コミカルな面とデモーニッシュな面を含んでいる駒井の銅版画は、ジキルとハイドのような二面性を持つその内なる姿を映し出しているように思えます。

詩画集『人それを呼んで反歌という』展示風景

「食卓にて、夏の終りに」
見開きの画面左側半分にワインの壜、右側にバスケットに入ったパンが描かれた白黒の銅版画です。
安東によればこの作品は、サルバドール・ダリが聖餐(せいさん)にちなんで描いた「パン籠」という静物画に着想を得て詠んだ安東の詩に、「呑んべえ」の駒井が「さっそくブドウ酒壜を横に添えて」つくったものだったということです(「『人それを呼んで反歌という』覚書」『版画芸術』77号)。
駒井はとにかく酒をよく飲む版画家でした。普段は紳士なのに、ひとたび酒を口にすると、手に負えない飲んだくれに変身することもあったといわれます。
駒井が夢と現実を区別せずに制作したことや、孤独感や虚無感、不安などをかかえた版画家だったことなどを考えると、駒井と酒と銅版画制作の関係はとても示唆的です。
コミカルな面とデモーニッシュな面を含んでいる駒井の銅版画は、ジキルとハイドのような二面性を持つその内なる姿を映し出しているように思えます。

詩画集『人それを呼んで反歌という』展示風景

「食卓にて、夏の終りに」





