芹ヶ谷だより

美術館スタッフが皆さまにお届けします。

2015年09月

元気いっぱいの子供たちと

町田市立国際版画美術館には、今年も小・中学校、高等学校の生徒さんが、夏休みを利用して体験学習に訪れました。
学校とはちょっと違った場所で、授業では取り上げられることの少ない技法にチャレンジ!


7月29日  町田市立小山(おやま)中学校 美術部のみなさん
厚紙を使った凹版でブックカバーを作りました。

 

7月31日 町田市立町田第三中学校 美術部のみなさん 
自分で描いたイラストを、スクリーンプリントの技法を使って手提げやランチクロスに印刷しました。
なんと運動靴に印刷した子も!!

 


8月7日 横浜市立鴨居中学校 美術部のみなさん
厚紙を使った凹版でグリーティングカード制作に挑戦です。

 

8月18,19,21日 東京都立町田高等学校と小川高等学校の美術部のみなさん
3日間かけて、大人でも難しい本格的なリトグラフに取り組みます。

 

8月25日 町田市立本町田東小学校弱視通級指導学級(ひとみの教室)のみなさん
復刻浮世絵版木の摺りを体験しました。

 

またリトグラフと復刻浮世絵版木の摺り体験の日には、女子美術大学で版画を専攻する学生さん10名が指導の補助を行うと同時に、研修生としてワークショップの実施方法や運営について学びました。


芹ヶ谷公園では、日暮れとともに秋の虫が大合唱。

すっかり秋の気配です。



木口(こぐち)木版画をご存知ですか?

木口(こぐち)木版画という技法をご存知ですか。
目のつんだ堅い木を版木として用い、ビュランという鋭利な刃物で微細な線や点を彫りこんでゆく版画です。
細密な表現を特徴とし、18世紀末から19世紀にかけて、書籍や雑誌の図版(挿絵)としてさかんに制作されました。
ところが1880年代に写真を印刷する技術が発展すると、急速にその影をひそめます。
しかしその後も、木口木版特有の硬質な線が描き出す緻密な世界は多くの版画家を魅了続け、今日もなおこの技法の表現効果を活かした優れた作品が制作されています。



トマス・ビューイック(1753-1828)
「チリングハムの野生の牛」1789年 木口木版 186×241mm
◆木口木版の代表的な作家、トマス・ビューイックは、細密で写実的な木口木版画の技法を大成し、多くの挿絵を手がけました。

木口木版の版木は、ツゲや椿など非常に堅い木を「輪切り」にして切り出します。
(一般的な木版画では「板目(いため)=縦方向」に切り出した板を使用します) 

 

のこぎりで輪切りにすることすら困難なほど堅い木です。

さらに断面をヤスリでツルツルになるまで磨きます。
年輪がきれいに見えていますね。 



木口木版の版木は厚さ2~3cm程度と通常の木版画(板目木版)より厚めです。
ただし、一本の木を輪切りにして作るため、サイズには限界があります。
何枚かの版木を貼り合わせ、大きな版木をつくる場合もあります。

版木を彫るときには「ビュラン」という道具を使います。
ビュランには断面の形や太さなどにさまざまな種類があります。 

 

どうです?この細かさ!!
(彫った線が見やすくなるよう、版面に墨をぬって黒くしています。)



この秋、当館では版画家の鈴木康生(すずきやすお)さんをお招きし、木口木版画の講座を開催します!  チラシ(PDF)はこちら



講師の先生の作品です。

 

初心者を対象とした3日間の講座です。
ふるってご応募ください。(募集期間 2015年9月11日~23日)




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