町田市立国際版画美術館では、館内にある版画工房、アトリエを利用して、さまざまな版画講座を開催しています。
その中で「ピックアップ技法講座」は、2013年度にはじまった全3回の講座です。
全国的に数少ない版画専門の美術館として、普段取り上げられることの少ない珍しい版画の技法や新しくて個性的な技法にスポットをあて、その制作を体験していただこうというこの講座。
年に一度の開催ですが、これまでに「メゾチント(銅版画)」と「謄写版」を取り上げ、受講生の皆さんにたっぷりとその魅力をお届けしました。
今年度は、ビュランで刻む細密な表現が魅力の「木口(こぐち)木版画」。
10、11月の隔週の土曜日に実施しました。
(技法についてはこちらもご参照ください)
講師は版画家の鈴木康生(すずき やすお)さんです。
今回はハガキサイズのサクラ材を使用。
版木に下絵を転写します。
堅い版木をビュランを使って彫ってゆきます。
集中力と根気のいる作業です。
印刷には油性インクを使い、バレンで刷ります。
食事で使うスプーンの背を使っても、きれいに刷れるんですよ。
今回は雁皮紙(がんぴし)と呼ばれる非常に薄い和紙に印刷しました。
これを厚手の版画用紙に貼りこんで、サインをいれたら完成です。
町田市立国際版画美術館では2016年春に、木口木版画が多数出品される企画展を開催予定です。
こちらもお楽しみに。