2016年06月
「森羅万象を刻む」展も好評のうちに終了いたしました。
たくさんのご来場、ありがとうございました。
さて、常設展示室は6月26日(日)までの会期で、
15~20世紀のヨーロッパの作品による「西洋の木版画」を開催中です。
西洋の木版画の起源は1400年前後にさかのぼるといわれます。
早くも1400年代末にはデューラーが登場、あっという間に頂点をきわめます。
「森羅万象に刻む」展に出品された銅版画作品もみごとでしたが、
木版画も素晴らしいの一語に尽きます!
アルブレヒト・デューラー『黙示録』より「ユーフラテス河畔の四人の天使
1511年刊
しかし、このあと次第にヨーロッパの版画の主流は銅版画に移っていってしまいます。
ふたたび木版画に注目があつまるのは19世紀中頃のこと。
それには日本美術の影響が大きいといわれます。
オーギュスト・ルペール「砕ける波、九月の潮、サン・ジャン・デ・モン」 1901年
浮世絵みたいな木版画が作りたい!
版木も道具も、紙も絵具も、何をどうしていいか分からないところから出発し、
試行錯誤の末に完成させた木版多色刷りの作品。なんともいじらしいではないですか!
多色刷りではなくても、平面を意識した表現に日本美術の影響が感じられます。
こちらはヴァロットンの作品、2014年に三菱一号館で開催された展覧会は記憶に新しいですね。
今回のハイライトはゴーギャンの木版画。ノアノア連作を中心に10点を展示しています。
技術的にはお世辞にも上手とは言えないけれど、現実の奥にある目に見えない真実を感じさせる、
その力強い表現はドイツ表現主義の画家たちにも大きな影響を与えました。
エルンスト・ルードヴィヒ・キルヒナー「脱穀する人」 1922年
そのドイツから、1960年代に日本にやってきたシュマイサーは、日本の伝統的な道具と和紙を用いて、日本の伝説に取材した作品を制作しています。
ヨルク・シュマイサー『日本の伝説』より「天狗松と武五郎」1972年
木版という技法を通して、日本とヨーロッパが影響を与えたり与えられたり、その展開が興味深いですね。
夏休みの国際版画美術館は、子ども向けの講座やイベントが盛り沢山!
6月から募集が始まる講座をご紹介します。
夏期子ども講座「版画でオリジナル化石をつくってみよう!2016」
講座日時:7月23、24日(土・日)10:30~16:00
対象:両日とも参加できる小学3~6年生
定員:20名
受講料:2000円
講座の申し込み方法など、詳細はこちら
版画で化石をつくる?しかもオリジナル??
はてなマークが飛び交う方は、去年の芹ヶ谷だより をご覧ください。
なーんだ、去年とおんなじか…と思われた方!…違うんです。
化石ができた!
この講座は東京学芸大学と国際版画美術館が連携して開催しています。
教員を目指す大学生の視点には「なるほど」という点がたくさんあり、
よりわかりやすく・楽しく版画と美術に触れる工夫、そして熱意はさすが!
受講生もお兄さん・お姉さんに作り方を教えてもらって、とても楽しそうです。
大学生と一緒に楽しく印刷♪
かっこいい石膏のオブジェと版画作品が完成して、夏休みの宿題も解決!!お家に飾れるのも素敵です。
去年参加した方も、参加できなかった方も、ぜひご応募お待ちしています。
このほかの子ども向け講座やイベントの詳細は7月にご紹介します。
どうぞお楽しみに!
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