昨年末のNew York Timesに、”How a trip to a museum may help you live longer”なる面白い記事を見つけました(けっして英語が得なわけではありません。認知症予防のために辞書を引き引き、興味ある記事を拾い読みしているだけですので、ゆめ誤解なきよう)。ロンドンの研究者たちが50歳以上の男女数千人を14年間にわたって調査したところ、年に1,2回、美術館や劇場、コンサートなどに足を運んだ人は、まったく行かなかった人よりも調査期間中において死亡率が14%低く、月に1度か数ヶ月に1度の頻度で通う人では31%も低かったというのです。驚くべき数字です。美術館の展示室を長い時間歩くことが健康に繋がっているのかとも思いましたが、劇場やコンサートは着席したままなので、物理的な運動量の多寡(たか)が理由ではないようです。研究者たちの推測するところでは、芸術に触れて感動することで、人生の目的意識が高まる、社会とのつながりが強まるといったことが長生きの理由だろうとしています。この研究結果に力を得た識者の言葉「芸術はしばしば、不必要なぜいたく品だといわるが、人生に欠かせない役割を果たしているのだ」も紹介されています。
だからこそ、皆さん健康長寿のためにも美術館にぜひぜひ足を運んで下さい、と書こうと思っていたら、あっという間に新型コロナのパンデミックに巻き込まれ、ほとんどすべての美術館が閉鎖せざるを得なくなりました。静粛(せいしゅく)に鑑賞することが要請されることの多い日本の美術館環境において、マスクを着用し、入場者数を制限して人との距離を保てば、感染リスクは高くないのでは、あるいは、暗鬱(あんうつ)とした気分が支配する今だからこそ、芸術で心の慰めを得ることが大事なのではないか、などとも個人的には考えました。しかし、人と人との接触を最低7割減らさなければ、感染のさらなる拡大は避けられないというこの危機的状況の中では、やはりやむを得ないことなのでしょう。会場に足を運ぶ途中の交通機関で感染するリスクも考えなくてはなりません。展覧会の内容にもよりますが、美術館の来館者には感染すると重症化しやすい高齢者の割合が高いことも心配です。
春は展覧会シーズンであり、どこの館も力を入れた企画を用意しています。それらがほとんど延期や中止となっており、長い時間かけて準備してきた美術館スタッフの方々の無念を考えると胸が痛みます。当館も4年間にわたるシリーズ展「インプリントまちだ」の集大成となる展覧会をご用意し、展示作業も完了していましたが、安全のために緊急事態宣言終了後の6月2日(火)に延期することになりました。ここは我慢のStay Home、みんなの協力で新型コロナが終息に向かい、安心して美術館にお越し頂ける日、胸を張って、健康長寿のためにも美術館へ!といえる日が一日も早く戻る事を心から願っております。
だからこそ、皆さん健康長寿のためにも美術館にぜひぜひ足を運んで下さい、と書こうと思っていたら、あっという間に新型コロナのパンデミックに巻き込まれ、ほとんどすべての美術館が閉鎖せざるを得なくなりました。静粛(せいしゅく)に鑑賞することが要請されることの多い日本の美術館環境において、マスクを着用し、入場者数を制限して人との距離を保てば、感染リスクは高くないのでは、あるいは、暗鬱(あんうつ)とした気分が支配する今だからこそ、芸術で心の慰めを得ることが大事なのではないか、などとも個人的には考えました。しかし、人と人との接触を最低7割減らさなければ、感染のさらなる拡大は避けられないというこの危機的状況の中では、やはりやむを得ないことなのでしょう。会場に足を運ぶ途中の交通機関で感染するリスクも考えなくてはなりません。展覧会の内容にもよりますが、美術館の来館者には感染すると重症化しやすい高齢者の割合が高いことも心配です。
春は展覧会シーズンであり、どこの館も力を入れた企画を用意しています。それらがほとんど延期や中止となっており、長い時間かけて準備してきた美術館スタッフの方々の無念を考えると胸が痛みます。当館も4年間にわたるシリーズ展「インプリントまちだ」の集大成となる展覧会をご用意し、展示作業も完了していましたが、安全のために緊急事態宣言終了後の6月2日(火)に延期することになりました。ここは我慢のStay Home、みんなの協力で新型コロナが終息に向かい、安心して美術館にお越し頂ける日、胸を張って、健康長寿のためにも美術館へ!といえる日が一日も早く戻る事を心から願っております。
大久保 純一(おおくぼ じゅんいち 町田市立国際版画美術館館長)
