動物園などでワニを見慣れている現代人が見ても不思議でインパクトのあるこの空間、現在当館で開催中の企画展「自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート」(5月21日まで)のポスターのチラシの一部にも使われているのですが、もしかすると逆さまのワニをレイアウトミスだと思われた方もいるかもしれません。真相は上述のとおりですので、その点、ご安心ください。
神の存在が人々の自然観を形づくる中世から自然科学の発達する近代へと移り変わるおよそ5世紀にわたるヨーロッパの自然誌に関わる画像を展示する今回の企画展には、超絶リアルな写生画や想像も交えた不可思議な動物など、多様な生き物の姿を見出すことができ、興味がつきません。この時代のヨーロッパの博物学の本の挿絵は江戸時代後期の絵画にも大きな影響を与えていますので、私としては職業上の性(さが)から注意をもって観ざるを得ないのですが、それ以上にヴェンツェスラウス・ホラーの『蛾、蝶、昆虫』(1646年)やマリア・ジビラ・メリアンの『スリナム産昆虫変態図譜』(1726年)などのリアルな昆虫図は、かつての昆虫少年(50年も昔の話)の胸を熱くするところがあります。今回の企画展、美術ファンだけでなく、日ごろ美術館には縁遠いけれど生き物にはすごく興味がある、という人たちも絶対お楽しみいただけると自信をもってお勧めします。アッ、でもそういう方は私のこのブログにアクセスする機会そのものが無いかも…
大久保純一(おおくぼ じゅんいち 町田市立国際版画美術館館長)


