暖かな陽気が続き、芹ヶ谷公園でも春が感じられるようになってきました。

版画美術館では3月10日から4月8日まで、企画展「浜田知明 100年のまなざし」展を開催中です。

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昨年12月に100歳を迎えた浜田知明(はまだ・ちめい)は、日本を代表する版画家・彫刻家です。
20代で経験した過酷な戦争体験を糧に、1950年代前半に銅版画で『初年兵哀歌』シリーズを制作。
敵味方を超えて戦争の残酷さと哀しみを描いた作品は、発表当初から高く評価されてきました。

代表作の《初年兵哀歌(歩哨)》(1954年)は浜田の自画像とも言うべき作品です。

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厳しい軍隊生活に耐え切れず自殺を試み、ポロリと涙をこぼしたガイコツ姿の初年兵からは、作者が抱えた心の痛みが伝わってきます。


その後はユーモアを交えて社会や人を諷刺した作品を、銅版画と彫刻で手がけていきます。
例えば、一見すると可愛らしいブロンズ彫刻の《ボス》(1985年)。

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ヒト以上に人間らしいチンパンジーが君臨していますが、やっと手に入れたトップの座は無理がたたって今にも崩れ落ちそう…。
ウィットに富んだタイトルに、浜田の皮肉が効いています。

ちなみにこの彫刻は、浜田による同じテーマとタイトルの版画作品に着想を得ています。
展覧会ではぜひそれぞれを見比べて、両者の魅力を楽しんでください。