オーストラリア北部アーネムランド。白人の入植がなかったことから、オーストラリアのなかでも先住民アボリジニの伝統的文化を色濃く残す地です。

1976年にオーストラリアを初めて訪ねたシュマイサーはアーネムランドに足をのばしました。この時からアボリジニ・アートに関心をもったのでしょうか、現代アボリジニ・アートの歴史において、シュマイサーは先住民アーティストに最初に銅版画技法を教えた指導者のひとりであることが指摘されています。

2010年、シュマイサーは東アーネムランドのブルーマッド湾で行われた、先住民美術家とオーストラリアの代表的アーティストによる共同版画制作プロジェクト「ジャルキリ」に参加しました。
http://www.nomadart.com.au/documents/DjalkiriFolioBoxWorks.pdf

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この体験から生まれた『イルパラ海岸のかけら』連作は、シュマイサーが最後の情熱を注いだ大作です。版画に手彩色とドローイングを加え、少なくとも15点のバリエーションを制作、本展ではそのうちの4点を展示しています。生命の喜びあふれるこの作品を見ると、翌年にシュマイサーが世を去ったとは信じがたいものがあります。それはアーネムランドという場所がもつ力から生まれたものだったのでしょうか?

11月4日(日)14時から開催する特別ギャラリートーク「シュマイサーが訪ねた地・アーネムランド」でお話くださるのは、文化人類学者の窪田幸子氏。現地の調査を通して、アーネムランドに暮らすアボリジニのヨルング族の研究をされています。アボリジニ・アートへの造詣も深い窪田氏に、シュマイサーの制作に最後の輝きを与えたこの地の魅力をお話いただきます。ぜひご参加下さい。