全国大学版画展が始まりました。全国の美術系大学や学部で版画を専攻する院生・学生が、1年間の研鑽の成果を世に問う展覧会です。当館が1987年の開館以来、版画学会と共催で開いてきた展覧会ですが、この春に着任した私は初めて見ることになります。主宰者側の一人として優秀賞を選ぶために投票しなければなりませんので、心して展示会場に入りました。最初に並んでいる5点の、小品ながら技術的なレベルの高さに驚嘆し、さすがに各校の精鋭による出品作だと納得したのですが、良く見るとそれらは指導される先生方の作品でした。見る順番を間違えていたようです。

 改めて逆方向から、学生諸君の出品作を見始めたのですが、力のこもった、技術的にも相当なレベルにあると思われるものが少なくないことに、さすがだとの思いを強くしました。きっと、この中から将来の日本の版画界を背負っていく人も出るのでしょう。超絶技巧的に細密な銅版による都市風景やフィギュア、シルクスクリーンによるカラフルな抽象表現、情趣ある木版の風景画など表現は多彩で幅広いのですが、今風のアニメキャラのようなモティーフももちらほら混じっていて、微笑ましいところもあります。

 出品作は全部で225点。若い作り手のエネルギーのみなぎる作品がこれだけの点数並ぶと、会場は「作品いきれ」しているようで、見終わった後で軽い疲労感さえ覚えます(無論、けっして不快なものではありません)。私が自信を持って投票した作品が優秀賞の中に選ばれたのかどうかは秘密です。

 審査委員による優秀賞の他に、来館された方々の投票で選ぶ「観客賞」も設けており、投票した方に抽選で先の5点の版画が贈られます。エントランスホールでは、土日に学生さんの作になる版画の即売会もおこなわれており、ここには常連のお客様も買いにこられるようです。ともに本物の作品をゲットするチャンスです。

 会期は22日(日)までとけっして長くはありません。常設展示室では、ミニ企画展「美の饗宴―西洋の美人像―」も、同じ日まで開催しています。展示規模は大きくありませんが、ひねりの効いた作品選定が見どころです。

 いずれも、どうかお見逃し無く。

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大久保純一(おおくぼじゅんいち 町田市立国際版画美術館館長)