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テオドール・シャセリオー連作 『オセロー』より 「ああ、私の美しい兵士!」

 「浮世絵風景画展」と「ミニ企画 浮世絵モダーン」、今年の夏は浮世絵をたっぷりお楽しみいただきました。 たくさんのみなさまにご来場いただいたふたつの展覧会が9月12日に終了、次の企画展「版画の見かた―技法・表現・歴史」が9月25日(土)から始まります。

 じゃあ展示室はお休み?―いえいえ、そうではありません。9月15日(水)からミニ企画展「描かれた文学 ドラクロワとシャセリオー」が始まりました。

両者は19世紀のフランスで活躍した画家。
ドラクロワといえば七月革命を描いた「民衆をひきいる自由の女神」が有名ですね。
シャセリオーは2017年に国立西洋美術館で開催された大回顧展が記憶に新しいところです。

今回のミニ企画展では、ふたりが文学を主題に制作した版画集を紹介します。

ドラクロワが描いたのは、ドイツの文学者ゲーテの戯曲『ファウスト』。
シャセリオーはシェイクスピアの悲劇『オセロー』。
どちらも文学史に残る名作として知られます。

というと、高尚そう、難解そう…、はっきりいってつまらなそうって思っていませんか?

物語の主人公は、現代風にいうと《残念な人》。
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学問をきわめても真理は分からないと絶望し、悪魔に魂を売る約束をするファウスト。
部下の悪だくみにまんまとはまり、心優しい妻を殺すオセロー。

他の登場人物も、陰険だったり、だまされやすかったり、嫉妬や愛といった感情にひきずられ判断をあやまってしまう――つまり、人間臭い人間ばかり。
ドラクロワとシャセリオーはこうした人々の姿を実にいきいきと描いています。

『ファウスト』と『オセロー』はいくつもの日本語訳があり、文庫本などでも手軽に読むことができます。
読書の秋、見てから読むか、読んでから見るか。ぜひ、ご来場ください。