今年も「町田市立公立小中学校作品展」がはじまりました。2月16日(日)までの会期で、中学校美術作品展、小学校図画工作展、小学校書写展と展開していきますが、それぞれ10日間という短い会期なので、お見逃しなきようお願いいたします。
相変わらずの力作揃いで、学校ごとにテーマや技法に工夫が凝らされていて飽きさせられません。近年、明治時代の工芸の‘超絶技巧’を見せる展覧会が人気ですが、何の変哲もない石ころを、形態のみならず質感まで精緻に再現した「そっくり石」など、思わず見入ってしまいました。
また、同じテーマや技法を用いていても、学校によって微妙な作風の違いが出ているのも面白く、これは先生の指導のしかたによるのかもしれません。画家や彫刻家の流派のことを英語でschoolと言いますが、学校展を見ているとまさにschoolの個性が出ていて興味深いものがあります。
生徒さんにとっては、自分の作品の前でご家族で記念写真を撮ることは晴れがましい体験に違いありませんが、他校の作品を見て、へえ~、こんな作り方があるんだ、と感心して帰ることも大事な経験だと思います。
自分の作品が展示されたということが人生における美術館との最初の接点になるということも少なくないでしょう。ですから、併設している企画展「新収蔵作品展Present for You わたしからあなたへ/みんなから未来へ」と特集展示「『月映』とその時代 ―1910年代日本の創作版画」もぜひご覧になってください。それぞれ充実した見応えのある展示になっており、『月映』展に出ている藤森静雄の孤独で内省的な作品など、きっと多感な中学生の心に響くものもあると思います。これを機に美術鑑賞を一生の楽しみにしてくれる生徒さんが出てきてくれると美術館側としても励みになります。
