2017年06月24日

あいたい 81

ジュングの様子と話で、ハニの身にとんでもない事が起きたのだと直感した。
スンジョは、出来るだけ冷静に行動をしようとしたが、この数日の疲れで思考が止まったような感覚になった。
ハンダイからギドンの店の<ソ・パルボクククス>までは30分もかからない。
その間に、ジュングからの電話が何度もかかり、ハンズフリーで向かっているから落ち着いて待っているようにとその都度応えていた。
スチャンに付き添っているグミには、ハニの事でギドンの店に向かっている事のみを伝えたら、すぐに自分もギドンの店に行くと言っていた。

ギドンの店は通常なら営業時間だが、ジュングの判断で臨時休業になっていた。
近くの駐車場に車を停めると、すぐに車から降りて店に向かった。

「ジュング!」
「やっと来てくれた・・・・」
安心したように椅子にドカッと腰かけると、テーブルの上に置かれていた冷たい水を勢いよく飲みだした。
「おじさんには連絡をしたのか?」
「した・・・・すぐに戻って来るって・・・・」
ジュングに聞いても事情が理解できない状態で、話をどうしていいのか分からなかったが、はっきりと分かった事は、ハニが死んだ・・・・・と言う事だった。
認めたくないとジュングは言っていたが、話を聞いた時のオレも認めたくなかったのは同じだ。

おじさんが店に帰って来た時は、とても一人で温泉宿まで行ける状態ではないし、オレも自分のこの目で確認をしたかった。
「スンジョ君、一緒に行ってくれないか?ジュングが聞いたことが事実なら、ハニは君にも来てほしいと思う。」
ハニはオレの見合いを知って、ショックを受けたのは事実で、そのことを認められないから一人で温泉宿に言った事は分かっている。
たとえハニが来てほしくないと思っていても、あの時俺は自分が行って確かめたかった。






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hanysweet at 10:33|PermalinkComments(0)あいたい 

2017年06月23日

あいたい 80

「スンジョさん、携帯の電源を切っていますよね?」
「切っています。」
「電話ですけど・・・・なんだかとても急いでいるみたいですよ。」
融資額も決まり、本格的にゲームソフトの開発を始めたばかりの頃、どこでどう調べたのかジュングから電話が掛かって来た。

「もしもし・・・・」
<すぐに店に来てくれんか?>
スンジョが会社に掛かってきた電話に出た途端、挨拶もしないでジュングの急いでいる声が聞こえて来た。
「無理だよ、会議中だ。」
<身元の確認をしてほしいと連絡があった>
最初は何を言っているのかさっぱりと分からなかったが、数日前からハニが家に帰ってきていない事をその時に初めて知った。
オレはヘラと見合いをしてから、ゲーム開発に関わる資料や、そのために開く会議の準備のために阪大に泊まり込んでいた。

「身元確認?何を言っているんだ。」
<ハニが家を出て言った事を知らないのか?>
「ハニが家を出た?」
<お前のせいでハニがペク家を出たのにそんな事も知らないのか!>
受話器を通して聞こえるジュングの声に、開発室のスタッフは聞こえていない振りをしていた。
<何でもいいけど、お前と一緒に行った温泉宿から連絡があって、大変なことが起きて身元を確認してほしいと・・・・ハニがそこに泊まっていたらしくて・・・・・>
あの温泉宿に一人で言った事を、その時初めて知った。
家に帰っていないから知らなかったが、あの時はお袋は入院中の親父に付き添っていたが、ハニがい亡くなった事が気になって病院でも気持ちが落ち着かなかったと言っていた。

「身元確認はオレには出来ない。」
<どうして出来ないんだ!シェフが同業者の集まりで、今店にいないんだよ。>
「身内しか身元確認は出来ない。緊急だからと言って、電話を取り次いでもらえばいい。」
何かあったのだと気が付いた開発室の室長が、メモを机の上を滑らせてスンジョに見えるようにした。

緊急な事でしたら、今日はお帰りいただいても大丈夫です

取り乱しているジュングを落ち着かせるためには、電話で話をしても埒が明かない。
オレは開発室のみんなの厚意に甘える事にした。







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hanysweet at 10:12|PermalinkComments(0)あいたい 

2017年06月22日

あいたい 79

「ヘラ・・・」
見合いの相手を知っているかと聞いた。
そのハニの表情を見れば、知っていることくらい分かっていた。
「結婚するの?」
「見合いというのは結婚が前提だろ。」
ハニがあの時何を言いたそうにしていたのか気が付いていた。
気が付いていたのに、気が付かない振りをしていた。

一緒に温泉で一泊したのに、私を苦しめるために恋人の振りをしてくれたの?
そう思っていたのかもしれないし、むしろそう言ってオレをののしってほしかった。
それから数日後にハニは家から姿を消した。
小さなメモに書かれた走り書き。
ハニの特徴のある文字が震えて書いてあり、涙を落としながら書いたのか、所々に涙の跡がにじんでいた。

「おじさん、すみません。ハニが家を出て行ったのは、オレのせいです。」
「そうじゃない。ハニがスンジョ君を勝手に思い込んでいただけだから気にしなくてもいい。」
おじさんはそう言ったが、本当はさんざん娘を弄んで、いくら親友の息子でも許せない。
と、そう言って責めてほしかった。
おじさんはそんな言葉でののしる事をしない人だし出来ない人だ。
入院中のおやじと、その親父に付き添っているお袋。
ハニを探すのはおじさんとオレとジュングの三人だった。
もっと人手が欲しかった。

おじさんの店が休みの時は、おじさんが警察に届けを出し、ジュングはバイクに乗って心当たりを探したが、見つからず行方不明の扱いになった。
あの日はおじさんが同業者との集まりで出かけていた時だった。
店でおじさんの代わりに、仕事をしていた時に連絡があって、どうしていいのか分からずオレに連絡を入れたのだった。





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