2017年03月27日

今でも 393

オリエントコーポレーションのビルで は無く、オフィス街にある3階建てのビルの一室にヘラの事務所があった。
オフィス街にあるビルでも、さすが実家がオリエントコーポレーションだと思える建物だ。
ヘラくらいの年齢の弁護士が、自分の弁護士事務所が持てるのは、財力がある証拠なのだろう。
「緊張するね。」
「そうか?」
スンジョが緊張をする事は滅多にない。
ヘラの秘書がふたりに待っている間に飲む飲物を聞きに来た。
「ご主人はコーヒーでよろしいですか?」
スンジョが何も言わないでも、秘書はスンジョが何を飲むのか知っていた。
「奥様は・・・」
スンジョと結婚してからまだ人から奥様と言われた事がない。
ダニエルの時には言われた事はあったが、ほとんど知っている人からは当時使っていた【ユナ】と言う名前で呼ばれていた。
「私はココア・・・ミルクを大目に・・・」
「畏まりました。先生は後10分くらいで戻って見えます。」
ヘラが好みそうなタイプの秘書は、なんだか昔のヘラとどこか似ていた。
育ちが良さそうで頭もよさそう、でも冷たい感じで人の心の中を見透かすように見える。

「ヘラ、忙しそうね。」
「そうだな。予定よりも遅れる事をしない人だったからな。」
時間通り、計画通りにすべてを行う性格は、今のスンジョも同じだ。
考えは帰る事は出来るかもしれないが、産まれた時からの性格はそう簡単には代えられない。
「あの秘書の人、スンジョ君知っているの?」
「ぁあ、ヘラがこの事務所を作った時からの人だから。」
「私の事をどう見たのかな・・・・」
「オレの奥さんに見えたのだと思うよ。」
スンジョの知らないハニがあったように、ハニの知らないスンジョの時間があった事は帰る事は出来ない。

暫くすると、先ほどの秘書が二人に飲み物を持って来た。
コーヒーカップもココアの入っているカップも、一目見て高級陶磁器だと判る。
同じ物ではないが、アンダーソン夫妻がこちらに来た時に、部屋で使っていた物と似ていた。
秘書はハニの左の薬指のふたつの指輪を、チラチラと見て何か疑問を感じたような顔をしていた。
ひとつの指輪はダニエルが買ってくれた物で、もう一つはスンジョから贈られた物。
その指輪は、スンジョが左の薬指にはめている物とも同じだ。

ココアを飲もうとすると、湯気がゆらゆらと揺れ、少し口に含んだ時にドアが開きハイヒールのかかとが床を蹴って来る音と、誰かが話している声が聞こえた。
それがヘラだと判ると、ハニは何を言われるのか気になってドキドキとした。







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hanysweet at 10:46|PermalinkComments(0) 今でも | 再会

2017年03月26日

今でも 392

『ソウルにいる間は家に泊まって』と、お母さんに言われてそのままペク家にお世話になる事に決めた。
スンジョ君の部屋は戻って来た時に使っていたから、私がいた頃と何も変わっていない。
私の部屋は改装されて、ウンジョ君とミアさんが使っていた。
あの部屋で、私はペク家を出る最後の夜にスンジョ君との思い出を作った。
今はウンジョ君夫婦の部屋だから入る訳にはいかないけど、あの日の夜の出来事はまだ数日前の様にはっきりと覚えている。

「スンハ、オンマと同じ部屋じゃないけど大丈夫だよね?」
「うん、チャンとビクトルが怖がらないように手を繋いで眠るからね。」
添い寝をしていた訳じゃないけど、なれない場所で眠れるのだろうかと心配だった。
ビクトルも最近は周りの状況が理解できるようになって、人懐っこかったスンハとは違って人見知りをするようになった。
特に、私がスンジョ君の子供を妊娠したのが判った頃からは、誰かが傍にいないと泣いて眠ってくれなかった。
託児所でも、手の空いた先生がビクトルの手を握っている間は眠っているが、安心して手を離すと大きな声で怖がるように泣いていると聞いた。
スンジョ君が言うには、ダニエルが亡くなった時の記憶が、幼いビクトルにはスンハとは違う記憶で心に傷を負ったのではないかと話した。

「スンハとビクトルは眠ったか?」
風呂から上がったスンジョが頭を水気をタオルで拭きながら、寝室に入って来た。
「スンハが手を繋いで眠ってくれるって。」
最近、やっとスンジョ君と普通に話せるようになった。
ちゃんと結婚と言う形を取ってから始めの頃は、ずっとスンジョ君だけを想い続けていたのに、オ・ハニと言う名前と人生を捨ててダニエルと結婚していた事があって、気恥しくて顔を見る事も出来なかった。

一緒に仕事をするようになって、なんとなく同じ部屋で仕事をして、同じ家に帰ってを繰り返しているうちに、これが恋人関係と言うのかなと思う様になった。
スンジョ君は、それとなく【このままでいないで、正式に結婚をしよう】と何度も言ってくれたけど、私が理由を付けて避けていた。
これが夢なら、覚めた時に二人の幼い子供を抱えて、ずっとダニエルに頼り切っていた私が仕事につけるのか不安だった。
確かに私はスンジョ君の奥さんになれたら・・・と、若い時に勝手に妄想をしていた事があった。
その妄想が私の家に間借り人として住んでくれたスンジョ君に片想いをして、子持ちの未亡人の私を鬱陶しく逃げて行ってしまうのじゃないかと思っていたのかもしれない。

恋人としてスンジョ君と一緒にいるのなら、捨てられても傷付かないと思っていた。
でも、恋人になって直ぐに妊娠した事が判っても、それをスンジョ君に話すのは怖かった。

「また、何か勝手に思い込んで落ち込んでいるのか?」
「落ち込んでいないよ。ただ・・・」
「ただ?」
「この歳で双子を産むのって大変だよね。」
「年齢は関係ない。」
スンジョはハニの頬にキスをして、スタンド電気を点けると天井灯を消した。

「そう言えば、ヘラから電話があって、明日会えないかと言って来た。」
ハニはヘラの名前を聞いて、身体を強張らせた。
ヘラはギョンスと結婚し、自分はスンジョと結婚をしたが、ヘラのスンジョへの想いは政略的なものではなくて、純粋に愛情がある事は判っていた。
「なぜ?」
「さぁ・・・」
スンジョ君とヘラがお互いに連絡を取りあっている事に、以前は夫婦だったから仕方がないとは思うけど、まだ私はヘラにスンジョ君が取られてしまうのではないかと言う不安が残っていた。






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2017年03月25日

今でも 391

店の中はジュングも他の従業員もいない、家族だけが集まってハニとスンジョの結婚を祝っていた。
ミアとウジョンが加わり、ハニの子供のスンハとビクトルも加わって、あの頃よりも賑やかなのは、本当に家族だけで気楽なパーティだから。

「ハニちゃん、辛くない?まだ無理は出来ないでしょ?」
「つわりも治まり安定期に入ったので。」
「安定期に入った?え?」
「あ・・・・その・・・」
「計算が合わないのだけど・・・パパから聞き出したのは4月の終わりに籍を入れたって・・・」
ハニはスンジョに助けてほしかったが、ウンジョとスチャンと何か話をしていて、こちらの様子に気が付きそうもない。

クスッとグミは笑うと、ハニの両手をしっかりと握った。
「ふたりとも大人だから、ちゃんと判っての事だし、それよりもスンジョとハニちゃんの二人の子供が授かった事が一番うれしいわ。ウジョンにスンハにビクトルと二人の可愛い女の双子が産まれるなんて、・・・・凄く老後は楽しみよ。」
「女の子の双子じゃないです。」
「えっ!そうなの?」
一人は男の子だと判っていたが、もう一人ははっきりと判らなかった。
「気にしないで、元気な子供が産まれればそれでいいのよ。ほら、ハニちゃんは今日の主役だから座っていて。」
グミに背中を押されながら、スンジョの横に開いている席に腰を下ろした。

「疲れたのか?」
「ううん・・・お母さんが座っていらっしゃいって。何を話ししていたの?」
「姉さんの、仕事についてだよ。」
子供の頃は呼び捨てだったウンジョが、スンジョと結婚をした事を聞いてから姉さんと呼ぶようになった。
その呼び方に嬉しいような、なんだか少しこそばゆい感じがする。

「今までどおり兄貴の手伝いをして、無理になったら産休を使ってもらえばいいけど、あの家に一人でいると何かあった時に困るだろうから、保養所の兄貴が使っていた部屋と、親父たちが使っていた部屋を使ったらどうかって。そうすればあそこからスンハちゃんは学校に行くのも楽だし、ビクトル君も託児所に行くのは姉さんが送り迎えしても負担はないのじゃないかって。」
家族の問題は家族が助けて解決してくれる。
これがペク家のいい所。
本当に今が一番私にとって幸せな時期なのかもしれない。
もう二度と悲しい思いをしたくないし、子供達にそんな思いもさせたくない





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