2018年01月11日

糸 112

着いた。
そう思った途端、ハニは倒れこんだ。
ハン・ヘリの家に行く前から緊張で気分はよくなかった。
ホテルまでの道のりギョルと何かを話していたが、何を話していたのか記憶に残っていない。
目の前にホテルの建物が見えてきたところまでは、視覚の記憶は残っている。
ホテルのフロントで鍵を受け取り、エレベーターに乗った所までは確実に自分で歩いていたのだろう。

「どうしたの?」
ギョルは帰って来たミンジュたちに気が付いた。
「コイツが、具合悪そうに歩いていたから一緒に帰って来たけど、エレベーターを下りた所で気を失った。」
「倒れた!」
「確かにハニは最近いつも顔色が悪かったけど、この子色白だからね。」
「旦那に連絡した方がいいだろうか。」
「出張中だって言っていたし、それほど急病っていう分けじゃないから大丈夫じゃない?」
そんな会話が聞こえていた。
ハニは心配そうな話をしているみんなに大丈夫と言いたかったが、そうしているうちに自然と眠りに入って行った。

何を暗示しているのか、リャンとミレイと暮らしていた頃の夢を見た。
それがはっきりと夢だと分かるのは、あの頃のハニは視力がなかったのに、夢の中での光景ははっきりと記憶されているような光景だった。

スンジョの子供をリャンの子供として死産した後に、一年も経たないうちにリャンの子供を妊娠して喜んでいた頃の三人の嬉しそうな様子。
記憶もなく目も見えないハニが、お腹に宿る子供との生活を想像して、それをリャンとミレイに話している。
そんな楽しい時間も長くは続かず、その子供も流産してしまった。
その2回の悲しい出来事のあと、どんなに望んでも妊娠する事は出来なかった。
落ち込むハニと、励ますリャンとミレイ。
その場面にスンジョが出て来て、悲しいハニに冷たい言葉を投げた。

「その子供は、オレの本当の子供か?」
夢の中だと分かっているのに、地の底まで落ちて行くような冷たい言葉にハニは『夢なら覚めて』と声に出したいくらいに悲しかった。







人気ブログランキングへ

hanysweet at 10:23│Comments(0)あいたい | 

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
ギャラリー