ハニが企画室から出たタイミングで、スンジョの携帯の着信ランプが点灯した。
「はい・・」
まるでどこかで見ていたくらいに、着信した電話の相手はヘラだった。
<今、会社よね?>
「あぁ・・」
<忙しい?>
忙しいと分かっていてもヘラは電話をしてくる。
あの見合いの後から頻繁にヘラから携帯に電話が掛かるか、ユン会長がヘラを含めての接待の電話をかけて来る。
見合いとは結婚を前提にしている事は分かっているが、人と恋愛をして結婚をする事を考えていなかったが、まだ結婚をする気持ちにはなっていない。
そんな勝手な言い訳が通じる人たちじゃない。

<急ぐ仕事とかあったらいけないけど、今日夕食を一緒に出来ないかしら?おじい様が将来の夫に美味しいものを食べさせてあげるようにって言うのよ>
「急ぐ仕事はないけど、家に帰ったらハニが食事を作っているから。」
<ハニが作れるようなものばかりじゃ、栄養不足になるわ。夕食はいらないと言って連絡をすればいいじゃない>
結局ヘラは自分の考えを人にいつも押し付ける。
それは母組と似ている部分でもあり、自分が好きではない事だ。
好きではなくても結婚を前提とした見合いをしたのだから、それを飲まないといけない事もある。
ヘラの言う通り家に電話をかけて、夕食はいらないとスンジョは言わない事にした。
ハニは勿論、両親にもみ合いをした事は言っていない。
いつかは言わないといけないと思っているけど、もう少し内緒にしていたかった。


スンジョの見合いの話が、両親に伝わるまでにはそれほど時間はかからなかった。
スチャンの入院も公には伝えていないが、毎回高額融資をしているオリエントコーポレーションのユン会長には伝えていた。
だから、相手を見てスンジョに孫娘との見合いの話をしたのだった。
その見合いの話を報告に、スチャンの入院先に見舞いに行く事はスンジョにとって想定外の事だった。
なぜ想定外の事だったのか、それは忙しいユン会長が見舞いに行くと言ってもまだ先の事だと思っていたからだ。
まさか、見合いをしてから数日後にスチャンを見まいに行くとは予想もしていなかった。

「どうぞ。」
ゆったりとしたノックの音に、グミがそれに応えた。
「あら!パパ、起きてください。」
「眠っていたのか?」
「いえ・・・これはこれはユン会長。どうされたのですか?」
ユン会長に一礼をしてグミは椅子をすすめると、ユン会長はグミに笑顔で礼を伝えた。
「君の息子のスンジョ君に君の事を聞いてな、心配で見舞いに来たのだけど意外と元気そうで安心したよ。」
スチャンとユン会長は、融資がらみの付き合い以上に仕事以外でもゴルフをしたり会食をしたりと交流があった。

「君の息子のスンジョ君は、本当に優秀な男だ。」
「ありがとうございます。まだ世間の事を何も知らないので、会長に失礼をしていないといいですが。」
「失礼な事よりも、彼のあの頭脳を孫娘の婿にと思ってな。」
「はぁ・・・・」
スチャンは薄々感じていたが、それについてグミと話をした事はなかった。
まさか、グミもいるこの部屋で本人からではなく会長の口から聞くとは思ってもいなかった。
「先日、孫娘のヘラと合わせてな、お互いに親せきになると思うと君の健康状態が気になって仕方がなかったよ。」
「どういう事ですか?」
ハニと結婚をしてほしいと思っていたグミには、ユン会長の言葉は何も考え付かないほどショックな事だった。
「聞いていないのか?孫娘のヘラとペク家の息子のスンジョ君と見合いをしたのだよ。」
スチャンもグミもその言葉に声が出なかった。




 
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