スンジョが帰宅する頃には辺りは薄暗くなっていた。
ハニを避けて帰宅する時間を遅らせたわけではなく、自習室を使用したためこの時間の帰宅になったのだ。
朝家を出る時にグミから今日は外出して帰宅が深夜近くになるからと言われたが、今までおばさんの家に行くにしても遅くなる時は一泊して来た。
何か魂胆があるような気もするが、おばさんは高齢だから万が一の事がないわけでもなかった。

門を開けて階段を上がり玄関のドアノブを回そうとしたが、玄関の鍵をハニはかけていた。
門は暗証番号を入力しないと開かないが、玄関の鍵をかけておくほどハニが用心深いようには思えなかった。
ズボンのポケットから玄関の鍵を開けドアを開けると、室内は薄暗くひっそりとしていた。

「出かけたのか?」
そう思ったが、ハニが通学に履く靴も、普段履きの靴も玄関にあった。
学校でもあまり顔を合わせる事がないから話はしないが、家に帰っても自分を避けるようにしているハニと話をした事は数回しかなかった。
グミやスチャン、ウンジョと自分以外の人間とは普通に話しているのに、自分を避けている事に特別にどう思うかと言う感情はなかった。
2階に上がりハニの部屋を通り過ぎて自分の部屋に向かおうとした時、少しだけ開いたドアの向こうにハニがベッドに横になって眠っている姿が見えた。
何かをしていてそのまま眠り込んでしまったのか、書け布団の上で気持ちよさそうに眠っていた。
ドアを閉めようとした時に、床に1枚の紙が落ちているのが見えた。

兄弟は弟しかいないが、女性の部屋に声を掛けずにはいる事に多少の気まずさはあったが、其の1枚の紙が気になった。
静かに部屋に入り、落ちている髪を拾い上げて目を通すと、スンジョはクスッと小さな声を漏らして笑った。

「へぇーそういう事だったんだ。」
きらりと光るスンジョの瞳は、少し意地悪な光を放った。