オレと似ている・・・か・・・
確かに自分から話すタイプではなく、人の話を黙って聞いているが、話の内容を分析しているような表情をしている。
自分とタイプが似ている人は安心できて楽だと思っているが、この人は何と言ったらいいのかもっと懐が大きく温かく感じる。

「スンジョも先輩の奥さんに会ってみたいだろ?オレたちと同じ年齢なのに、少女みたいな顔で笑うんだよ。」
「無理に合わせてくれと言うのは迷惑だと思う。」
「スンジョは、結構先輩の奥さんがタイプだと思うぞ。」
少女みたいな顔で笑う女性がタイプだとは誰にも話した事はないが、ヘラと破談になった事を知っている人はその正反対の女性がタイプかと思うだろう。
酒の席で出た話だから、紹介されたイム・スウォンさんは気にしていない風に黙って後輩の話を聞いている。
オレと似ているというのは、総合いうところだろう。

三人は二時間くらい気楽に話して、居酒屋を出た。
「先輩、もう一軒行きましょうか?」
「いや、オレはやめておくよ。」
「せっかく会えたのですから、今度はオレたちで奢りますから・・・・」
おいおい、オレたちで奢るって、オレはその話に乗ると言っていないだろう。
こいつはいつもこうだけど、同僚の中で一番信用が出来る男だ。
「それはありがたいけど、家内の実家で宿泊するから遅くなっては迷惑がかかるから二人で行ったらどうだ。」
家族を持つと仮定優先になるのは普通だが、スンジョの同僚は妻子がいてもイム・スウォンと会えたことが大切と思っている人物だった。

「オレも帰るよ。ここ数日忙しかったから、日付が変わる前には眠りたい。」
結局三人は居酒屋を出た所で、それぞれの変える方向に向かった。
足早に歩くイム・スウォンの後姿を見ながら、自分の帰る方向と同じなのかと思うと、ふとその道を随分と昔にハニとギドンと自分の家族で歩いた日を思い出していた。

あの角を左に曲がって三本目を右に曲がり・・・・・
まだ記憶に残っているほろ酔いのスチャンとグミとギドンの楽しい話声と、自分の背中で眠っている小学背の弟。
少し後ろから付いてくるハニの視線が、自分の背中を射るように見ているのが感じていた。

忘れられないのなら、どうして家を出た後に手にした手紙のアドレスにメールをしなかったのか。
今さらメールをしてももう意味がなく遅い。
やっと見つけた自分の心が安らげる場所だと、なぜ早く気が付かなかったのか。
今頃ハニはどうしているのだろう。
イム・スウォンさんと会わなければ、きっとハニの事も思い出さなかったかもしれない。
あぁ・・・あの道を曲がると≪ソ・パルボクククス≫の店がある。

スンジョはイム・スウォンが自分の思った方に曲がったのを見ると、ドクンドクンと苦しくなるくらいに胸が鼓動し、その辺りのシャツをグッと掴んだ。