チラッとスウォンが自分の方を見ていた。
このまま挨拶だけをして別れてしまうには、グミとはそんな付き合いでもなかった。
「おばさん・・買い物をされていたのですか?」
この階は子供用品の売り場だから、スンジョとヘラの子供の物でも買いに来ていたのだろうかとハニは考えた。
自分も結婚をして母親になるのだから、平気なつもりでいたがグミと再会して不思議な気持ちがした。

「知り合いの・・・従業員のお子さんが幼稚園に入ったと聞いたから、何かお祝いでもしようかと思って来たのよ。」
知り合いの・・・と言って言い換えて従業員と言ったのは、そのまま受け取っていいだろうかと思うが、ハニの良くない癖は変わらなかった。
自分の気持ちをグミは知っているから、本当の事は言い難いのだろうと思い込んでいた。

「会計が済んで振り向いたら、ハニちゃんが赤ちゃんの服をご主人と選んでいたから。」
「あ・・」
妊婦が男性と一緒にいれば、普通に考えてもそれが夫だと分かるだろう。
「ギドンさんのお店にパパと食事に行った時に聞いたのよ、大学時代の先生とハニちゃんが結婚したって・・・・ドレスを着たハニちゃんの写真も見せてもらったけど、幸せそうで良かったわ。」
そうだったんだ・・・パパがおばさんに教えたんだ。
別に教えてはいけない理由もないし、隠す事もないからおばさんに会った時に普通にしていればいいのに・・・

「ハニ・・・知り合い?」
荷物を持ったスウォンが二人に近づくと、お互いに会釈をして簡単な挨拶をした。
「パパの友達の奥さん・・・以前にお世話になっていた事を話したでしょ?」
「あ~ぁ、高校生の時にお世話になった家の・・」
全部は話してはいないが、同居したいきさつを話した事はあった。
「楽しみでしょ?親になるのは。」
「ええ、結婚して5年ですが、お互いに仕事もしていたのであきらめていた時にやっと授かったので産まれてくる日を楽しみにしています。」
本当の事だった。
妊娠を知った時は、もうスンジョの事を完全に封印出来たつもりでいたのだから。
スウォンと特別に付き合いはしていなかったが、スウォンの父親に診療所で一緒に仕事をしていてそのまま結婚をした。
若い二人を見ながら、グミはスンジョ一筋だと思っていたハニが、どうして自分の息子以外の人を選んだのか、なんとなく分かるような気がした。