半日で何もかもが変わる事があるのだろうか。
おじさんが倒れて病院にスンジョ君とおばさんが家にいない、暗いペク家のリビングにウンジョ君とふたり。
パパは、臨時休業をしたから使えなくなった食材の処分と、明日の仕込みがあるから店に泊まり込むことになった。

「たまにはおじさんの作ったご飯もいいね。」
「そうだね・・・」
ウンジョ君はパパの作って持たせてくれた食事もいいと言っていても、あまり口に運んでいない。
そうだよね・・・父親が倒れて平気な子供なんていないから。
「美味しいけど、もう食べられないから・・・・」
「いいよ。明日学校があるから、お風呂に入ってもう寝た方がいいよ。」
「ハニも食べていないじゃないか・・・まぁ、最近太ったみたいでお腹が出て来たから食べない方がお兄ちゃんに嫌われないけど・・・」
ハニは何も言葉を発せず、ただ苦笑いをしただけ。

妊娠5か月になってお腹のふくらみがウンジョ君に分かるのなら、勘のいいおばさんに話す前に気が付かれないよう、明日から着る服に気を付けなければと、ハニはさりげなくお腹に手を当てていた。
一人で家の片付けをして玄関の鍵を掛けると、家の中は怖いくらいに静かだった。
静かな家の中に急に響いた今の状況には不釣り合いな着信音。
ハニは急いで電話に出ると、疲れたスンジョの声だった。

<寝てたか?>
「ううん・・まだリビング・・・」
<体調・・変わりないか?>
ハニの体調を気遣うスンジョの言葉に、昼間の『結婚』と言った言葉が現実だと思えた。
「うん、スンジョ君・・おじさんは?」
<今は安定して眠っているけど、今夜はお袋を置いて帰れないから・・・その時に言うよ。ハニが妊娠したと>
「今はだめだよ。おばさんが驚いて倒れちゃう。」
だけど、いつまでも隠しておく事は出来ない。
もう生むしか出来ない時期に入っていたのだから。
<分かったよ。次期を見てお袋だけには言うから、おじさんにもオレから話すよ。予定日はいつだ?>
「4月・・・・」
<そうか・・じゃあ、式はすぐに挙げなくても、親父と普通に会話が出来るようになったら話して届を出そう>

ウンジョ君に気が付かれているかもしれないとは言いだせなかった
普通に結婚して妊娠したら、本当は家族全員で喜ぶ事なのだろうけど、今はそれが出来ない事がお腹の子供に悪い気持ちがした。
今がどん底になったように思っていたが、それよりももっと苦しくて辛い事が数日後に起きるとはだれも思っていなかった。




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