更にきれいに盛り付けてラップフィルムをかけ、深めの器にケーキを入れて冷蔵庫に入れ、ダイニングテーブルを奇麗に拭くと、ハニは壁に掛かっている時計を見上げた。
「遅くなるって電話があったけど、何時になるのかなぁ・・・・」
開院して二年近くになると患者も増え、急患の対応をしているから帰宅するのが深夜近くになる事もよくあった。
遅くなる時は先に寝ていていいと、スンジョはそう言ってくれるが今日は起きて待っていたかった。
スンハの部屋を覗き、よく眠っている顔を見ると、ハニはスンハの部屋の窓のカーテンを少し開けた。

「部屋の中から見る星空と、外から見える星空は違うけど、まだ外に出て星空を見るのは怖い。」
やっと最近母親が好きだった星空を見上げる事が出来るようになったが、部屋の中からしか見た事がなかった。
今日は結婚記念日。
ひとつずつ前に進まないといけない。
気負わなくてもいいと言ってくれたスン所の言葉に、いつまでも甘えていてはいけない。

ハニはカーディガンを羽織り勝手口から裏庭に出て、ナムさんがスンハとハニのために作ったブランコに腰かけた。
数日前に雨が降ったから星空がとてもきれいに見えた。
今日が結婚記念日だから星空を見上げる事が出来たのか、それとも何かが変わって行き始めたから見上げる事が出来たのか分からない。
自然に揺れるままにして星空に見入っていたのか、揺れ方が変わりふと横を見るとスンジョが腰かけようとしていた。

「オレも横に座ってもいいか?」
「いいけど・・・ご飯食べていないでしょ?」
「食べていないけど、ハニが一人で星空を見る事が出来たのなら、オレも同じ星空を見たい。」
横に座るスンジョの横顔は、疲れているはずなのに清々しく見えるのはこの星空の下の空気のせいだからなのだろうか。
ハニが見ているのに気が付いたスンジョは、優しく微笑んだ顔をゆっくりと向けた。

キラキラと輝くその瞳から視線をハニは外せなかった。
静かに近づく顔に引き寄せられると、ハニは無意識に目を閉じた。
フワッと何かが触れると、ハニはそのまま吸い込まれるような感覚になった。
スーっと風が吹くと、スンジョの優しくて甘い声が耳元に聞こえた。
「ハニ・・・一つ乗り越えたね・・・ありがとう。」
星空がハニに魔法をかけたのか、それとも星空がハニの心を雪解けに導いたのか分からないが、ハニは身体全体が宙に浮いたような感じになった。





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