家族が全員学校や会社に出て行くと、家に一人でいる母親のグミは、掃除機をかけている手を止めて深いため息を吐いた。
「ハァー・・・つまらないわ・・・パパは仕事熱心で真面目な人で家族を大切にする完璧な人で、何も不満に思う事はないけど・・本当に毎日がつまらないわ。」
リビングのボードの上の多数のフォトスタンドは、家族の楽しい思い出の写真ばかり置かれていた。
両親の間に小学生のウンジョが立ち、両親の間の後ろに高校生の制服を着たスンジョが立っていた。
今の顔より幼さが残っているスンジョを見ると、おそらく高校の入学式の時の記念だろう。

「この写真も、スンジョだけが笑っていない・・・写真嫌いでも、自分以外の家族が笑顔なのだから、場に合わせてくれてもいいのに・・・」
この写真ばかりではなく、どの写真に写っているスンジョの顔は作り笑いもなかった。
「何を考えているのかもさっぱりわからない・・・早く自然に笑えるようになってほしいわ・・」
またグミは掃除機のスイッチを入れ、家の中の掃除を始めた。

ドラマのような幸せな家庭でも、人に言う事もない悩みがあるのだと分かる家にいるグミ一人だけのつぶやきだった。


パラン高校の校庭は賑やかだった。
年頃の男子女子が数人集まれば、その年代にしか分からない話題で盛り上がる。
3~5人くらいのグループがいくつか、楽しそうにはしゃぎながら歩いていた。
その間を抜けるように大人びた雰囲気のスンジョが通ると、女子生徒は勿論男子生徒もスンジョを憧れのような眼差しで見ていた。
その場所より離れた校舎の三階から、窓から目だけを覗かせて見ている女の子がいた。

「目立つよね・・ペク・スンジョ。」
「好調を始め教頭や他の先生方からも信頼がある、パラン高校の模範学生だからね。」
「だけど、無表情で冷たいよ。」
「テストを受ければ満点で、学年トップの記録を更新中。運動神経も抜群で、テニスも優勝する腕前なのに、試合の前だけしかコートに来ない。勉強も運動も完璧なのに、生徒会長にはならないし・・・なんだか完璧すぎて鼻持ちならない。」
「いいの・・・本当の事だから。」
目だけを覗かせていた女の子は、ペク・スンジョの姿が見にくい位置に来ると、さすがに立ち上がってその姿を見るしかなくなった。

「どこがいいんだろうね・・・欠点のない完璧な人間なんて、面白みもなくてつまらないじゃない。」
「女の子からのプレゼントや手紙は、見つけ次第ゴミ箱行き・・・」
「本当に嫌味な奴だよ。」
「嫌味じゃないよ。スンジョ君は、人を選んでいないから。みんな平等にしているからゴミ箱に捨てるの。」
女の子の二人の友人は、ペク・スンジョの姿を追っている友達を何か諦めたように見ていた。

「告白しちゃったら?」
「無・・・無理・・・近寄れない・・・」
「高校の入学式に一目ぼれして、片想い歴3年目だよ。もうあと卒業まで半年もないじゃない。彼はテハン大か海外留学するだろうし、落ちこぼれ組の私たちが行く大学とレベルが違う大学だよ。ハニの成績なら、パラン大だって行けるかどうかじゃない。」
「ミナ・・・痛い所吐くけど、今更かんばってもスンジョ君が行く大学に行けるわけないじゃない。」
「だから、ジュリが言うように告白して、フラれるならフラれるで諦めがつくでしょ?」
スンジョの姿が見えなくなると、ハニは窓際から離れた。




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